【臨床から学んだこと】PCPS管理・看護のポイント

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私の努めている病院ではPCPS(ECMO)がよく導入されます。

ここでは私が実臨床で経験したPCPS管理で、本当に大切だと思ったポイントを看護師さん目線でまとめました。

中には教科書にもあまり載っていないポイントもあるかも知れません。

しかし、そこが意外に見落とされがちなPCPSの管理・看護のポイントです。

PCPSとは

PCPSはPercutaneous Cardio Pulmonary Supportの頭文字を繋げたもので、日本語では経皮的心肺補助法と言います。

最近ではECMO(エクモ)と呼ばれる事が多くなってきましたが、これは言葉が違うだけで同じ治療を指しています。

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故に、患者さんについている装置も同じものとなります。

ややこしいですが、自施設でみんなが呼んでいる方に合わせて呼んで問題はないと思います。

 
 

PCPS看護のポイント

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脱血管先端の位置

まずは臨床で「ある意味1番大事なんじゃないか?」と思う事を挙げます。

それが脱血管先端の位置です。
 
 
脱血管は先端の位置が右心房の高さに位置する様に固定する事が大切です。

なぜなら右心房はご存知のとおり袋状に膨らんでおり、ここにある程度のスペースがあるからです。

このスペースが血液の良好な脱血を可能とします。

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例えば脱血管の先端が右心房よりももっと下、IVC(下大静脈)のところに位置していると、そこには十分なスペースが無いので脱血管は上手く血液を脱血することが出来なくなります。

これを脱血不良と言います。
 
 
さらにPCPSは脱血した量と同じ量しか送血できないと言う特徴があります。

脱血管の位置が悪いと、脱血不良が発生し、→ それが送血不良となり、→ PCPS補助率が下がり、→ 血圧が下がる。という悪循環が起こります。

PCPS管理中には脱血管(ついでに送血管も)の固定位置を必ず確認する様にしましょう。
 
 

出血

PCPSの管理・看護を行う上で、出血との戦いは避けては通れません。

なぜならPCPS管理中はヘパリンを投与し続けACT(活性化凝固時間)を延長しているからです。

血が固まりにくいと言うことは、逆に言えば出血が助長されやすいと言うことですね。

身体の中の血液が失われていくと、脱血する血液が減少し、先程と同く脱血不良が発生しやすくなります。

そればかりか酸素供給量の低下も招きます。

PCPS脱血管・送血管の刺入部で発生しやすいwoozingによる出血量は正確にカウントしましょう。

また採血データからHb値が低下している様なら(最低でも7.0g/dLはキープする)、医師に報告し、輸血の準備に取り掛かります。
 
 

ACT(活性化凝固時間)

PCPS管理中はヘパリンでACTを延長させる必要があると説明しました。

具体的にはACT180〜200秒程度で管理する事が多いです。

しかしこれもあくまで目安なので、出血が止まらずコントロール不能な状態であればヘパリンの投与を減量あるいはストップし、ACTも150秒程度に抑えます。

ただし、ACTが延長していないと血液の凝固が進んでいきます。

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<人工肺に凝血が発生している>

出血と凝血のバランス管理がPCPS管理・看護の難しいところです。
 
 

PCPS回転数と送血流量

基本的にはPCPSのポンプの回転数を上げると、それに応じて脱血量が増え、送血量も増え、血圧が上がります。

しかし、ただ回転数を上げれば良いと言うワケではありません。

PCPSの回転数を上げると、

①脱血量が増えるとそれだけ脱血不良も起きやすくなる
②遠心ポンプの回転による血球へのシェアストレス(物理的ダメージ)により溶血が起きやすくなる
③大腿動脈からの送血の勢いが左心室への負担となる

などの弊害も起こりやすくなると言えます。PCPSの管理・看護ではポンプの回転数と送血流量も気にしておいて下さい。
 
 

溶血尿の有無

溶血とは赤血球が何らかの理由により破壊される現象の事を言います。

血液は脱血不良の発生、ポンプの高回転による血球へのダメージなどによって起こります。

溶血が起こると腎障害を引き起こしてしまい、透析を行わなければならなくなってしまう可能性があります。
 
 
溶血は採血データからも分かりますが、自尿が出ていればその色で判断できるかも知れません。

尿の色が薄いピンク色に変わってきたら、溶血が起こっているかも知れないと評価してみましょう。
 
 

酸素流量の確認

PCPSの設定項目はたった2つだけです。

それはポンプの回転数と酸素の設定です。

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ポンプの回転数は送血流量に影響してきます。

そして送血流量が変化した時は要注意です。
 
 
仮にPCPSの設定が送血流量2L/min、人工肺の酸素流量が2L/minだったとします。

ポンプの回転数を減らすなどして送血流量が1L/minに低下しました。

しかし酸素流量の設定は2L/minのままです。血液流量に対する酸素流量は、相対的に先程の2倍になっています。

このままの状態で経過すると、血ガスを測った時にPaCO2の値が異常に低下する恐れがあります。

送血流量を増加/減少させた場合、酸素流量も合わせて増加/減少させる事を考慮して下さい。
 
 

足背動脈の血流確認

PCPSの送血管は大腿動脈からアクセスされる事が多いです。

細い動脈にほぼ同じ太さの送血管が挿入されると、その送血管自体に遮られ、末梢への血流が途絶してしまいます。

組織に血液が供給されなくなると、次第に壊死していきます。

最悪の場合、アンプタ(切断)しなくてはならない事態にも陥ります。

PCPS導入中に下肢の切断を行ってしまうと、その後の管理は非常に困難となります。

PCPSの凝血を防ぐ為に抗凝固薬を投与し続けていますので、切断面からの出血が止まらない、→ 失血のため脱血不良を繰り返し十分な心補助ができない、→ 溶血も起こり腎障害も併発してしまう。

この様なパターンも考えられます。

これを予防するために足背動脈の血流の確認を行います。送血管の挿入されている側の下肢末梢の足背動脈の血流を、触診やドップラー血流計を用いて確認します。
 
 

 
 
 


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