ECMO管理中にCHDFを併用する事は、血液ガスの是正や水分管理において大きな効果を発揮します。
ここではECMOとCHDFを併用することの効果と注意点をまとめてみました。
ECMOとCHDFの併用効果
ECMOを導入すると、カテコラミンを始め輸血など多くの薬・水分投与されます。
うまく尿が出てくれたら良いのですが、利尿薬の反応が悪かったり、様々な理由からプラスバランスになってしまう事がほとんどです。
この時CHDFを併用する事で機械的に除水することができ、また腎不全の予防にも効果的です。
続いて、特にVV-ECMOの場合では、呼吸不全からの高CO2血症によりアシドーシスの状態である場合が多いです。
VV-ECMOを導入したらこのアシドーシスを是正する事が第一の目標と言えます。
このアシドーシス是正目的にCHDFをECMOと併用しているケースは実はよくあります。
ECMOとCHDF併用の注意点
ECMO中にCHDFを併用する場合、どこからCHDFの脱送血を行うか?がポイントです。
個人的に調べてみた結果、半分以上の施設ではECMOの回路の枝分かれしているルートからCHDF送脱血を行っているようです。
その他の回答としては頸部、または鼠径部に新たにルートを確保しCHDFを行うといった回答がありました。
ECMOの回路からCHDF脱送血を行った場合、新たにルートを確保する必要がないので、感染源・出血源を最小にできるというメリットがあります。
しかしデメリットとして、CHDFの開始・回収において、気泡の混入を招きやすい。
回路が複雑になる。という点が挙げられます。
一方、新たにルートを確保する場合のメリットは、回路がシンプルであるという事。
しかしデメリットとして感染源・出血源が増えるというリスクを背負います。
岡井さんの考察
私としては特別な場合の除いて、新たな出血源を増やしたくないのでECMOの回路からCHDFの送脱血を行う方が有利だと感じます。
さらに言えばECMO回路の脱血回路からCHDFの脱血を行い、ECMO回路の人工肺手前の送血回路にCHDF送血を行う方法がベターだと思います。
理由はECMOの脱血不良発生時にもダイアライザーに陰圧がかかることはないので、逆濾過を防ぐことが出来ますし、CHDFの送血に万が一気泡があっても、人工肺でトラップされる可能性が残るからです。
メリットとデメリットは表裏一体ですが、それぞれの特徴を活かし、施設のやり方に合った方法で安全に管理できる事がイチバンだと思います。
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