ネーザルハイフロー(NHF)は低侵襲ながらも高濃度・高流量な酸素を投与することができ、呼吸不全の病態の改善をはかる治療法です。
その有用性の高さから、一般病棟でも使用する機会が多いかと思います。
今回はそんなNHFの基本から管理・看護のポイントまでをまとめてみました。
目次
ネーザルハイフローとは
NHFの特徴は低侵襲・高流量・加温加湿です。
これらの特徴を兼ね備える事で得られる臨床上の有用性は高く、挿管からマスク酸素療法までの橋渡し、または挿管を回避したい場合の呼吸療法として広く知られています。
逆に人工呼吸器からウィーニングをするための架け橋として仕様することもあります。
ネーザルハイフローの効果
低侵襲であることの効果
①患者家族との会話が可能
②患者が飲食可能
③苦痛が少ない
高流量なFlowを送る事で得られる効果
①高濃度で正確な酸素を、患者の一回換気量や呼吸数の影響をほとんど受けることなく送り届ける事ができる
②鼻腔や気道といった解剖学的死腔をウォッシュアウト(洗い流し)することでCO2の再吸収を防ぎ、ガス交換効率を上げる事ができる
③口を閉じた状態では約2〜3cmH2OのPEEPがかかる
加温加湿により得られる効果
①乾燥を防ぐことで線毛機能を維持する
②気道分泌物の固着化を予防し、気道閉塞を防ぐ
NHFの管理・看護のポイント
開始時は加温加湿器が十分に温まってから
鼻カニューレにて30mL/minほどの高流量を鼻腔で受けると、普通は鼻が痛くなります。
なぜNHFが高流量で維持できるかというと、十分に加温加湿されているからです。
加温器の電源を入れてすぐはまだ十分に温まっていないので、不快感や気道分泌物による閉塞を招く事があるので、注意しましょう。
鼻カニューレを使用する場合は位置のズレに注意
ネーザルハイフローは非侵襲的な治療法です。
しかしそれ故に固定が甘いとカニューレがずれてしまったり、患者が自ら外してしまうこともあります。
回路内の結露水は加温加湿器に戻す
フィッシャー&パイケル社などの回路は回路の中にヒートセンサーが入っており、回路に結露ができにくい構造となっています。
しかし、部屋の温度や加湿状況によっては結露が出来てしまいます。
そんな時は回路をたぐり寄せて加温器のチャンバーに戻してOKです。
回路の中の風の流れは常に一方通行かつ高流量なので、加温器が汚染されることはありません。
ただし、明らかに濁っている場合などは交換が必要です。
回路のリーク(漏れが分かりにくい)
ネーザルハイフローにはNPPVの様に正確にリークを検知するアラーム機能はありません。
SpO2が保たれていれば基本的にはOKですが、リークによって実質的な酸素投与量は減少しますし、リーク部分によっても温度が変動します。
チェック時には回路の各接続部のゆるみやひび割れに注意してみて下さい。
加温加湿水の残量に注意
ネーザルハイフローの加湿用精製水の消費は非常に多いです。
精製水がなくなってしまったらカラ炊きによる温度上昇、気道熱傷、除湿による線毛機能障害など様々な弊害をまねく恐れがあります。
精製水の残量はこまめにチェックしましょう。
加温度加湿器の設定とアラーム
続いてはネーザルハイフローセラピーに必要不可欠な加温加湿器の設定とアラームの説明をします。
...が、長くなってしまったので一旦休憩して、続きはコチラのページへジャンプしてしてください。
<ネーザルハイフローの教科書>
初めまして。お尋ねしをます。ネーザルハイフローを6か月間連続で使用していい場合において、超重症の児の判定基準の項目にあるレスピレーター管理に含まれるでしょうか。
返信が遅れてしまい申し訳ありません。
この件について当方深く精通していない為、当院医事課会計担当とも相談した内容と併せてお答えします。
超重症児(者)の判定基準の判定スコアであるレスピレーター管理において、【毎日行う機械的気道陽圧を要するカフマシン・NIPPV・CPAPなどはレスピレーター管理に含む。】と記載があります。
ネーザルハイフローは高流量酸素の送風により二次的に気道に陽圧が掛かりますが、これが主目的ではない為、レスピレーター管理には含まれる可能性は低いとの見解でした。
ただしネーザルハイフローを6ヶ月以上継続連続している児の場合、判定スコアにおいてレスピレーター管理以外の項目で超重症判定基準を超過するケースが多いのではとの意見も頂きました。