【現役臨床工学技士が答えます!】臨床工学技士の仕事内容と将来性は?

臨床工学技士,仕事内容

 
皆さんこんにちは、こんばんは。臨床工学技士の岡井です。

前回に引き続き、臨床工学技士の事について話していきます。

以前から臨床工学技士の仕事内容について相談や質問があったのでまとめて見ました。

これを機に知って頂き、多職種連携や学生の方にとっては進路の参考などにしてもらえたらと思います。

目次

臨床工学技士の仕事内容

臨床工学技士の仕事内容と言っても、働く施設・部署によって様々です。

大きな総合病院でそこに雇用されている臨床工学技士の数が多いのであれば、ローテーションでそれぞれの部署を移動したりするでしょう。

逆に小規模の病院やクリニックなどでは、それぞれの専門の業務をする事となります。

私は現在総合病院に努めているのでそれぞれの部署での仕事内容について話していきます。

機器管理業務

病院には多くの医療機器があります。

これらの購入・廃棄・点検・修理などを行うのが機器管理業務です。

医療機器は病院の資源です。

大切に扱い少しでも長く使用可能な状態を保つことで、新規の機器購入にかかる病院の経費を削減する事が出来ます。

その為に1つ1つの機器に対し、いつ購入したのか、今どの部署で使用されているのか、何回稼動したのか、などを管理するのが機器管理室での仕事です。

輸液ポンプは1台40万円くらいしますからね。

失くなったりしたら大変です。

患者さんに対して使用を終えた機器は機器管理室に返却され、清掃・点検を行い、また直ぐに使用できる様にしておきます。

バッテリーを積んでいるものはフル充電にしておきます。

この他にも機器1つ1つに対し定期的に特別な点検を行い、患者さんに対して安全に使用できる状態にしておきます。
 
 
<病院にある医療機器の値段を比較>

透析室での仕事内容

透析は臨床工学技士がメインとなる仕事の1つです。

透析室ではいわずもがな、透析治療業務に従事します。

ここで働く臨床工学技士は透析に関わる0〜10のコト全てに従事します。

準備、穿刺、開始、監視、回収

これで一通り患者さんへの透析治療は終了ですが、この他に患者さんの水分バランスの計算、電解質の補正、内シャントの評価、など多岐に渡ります。

医師らと共に患者さんの透析スケジュールや今後のプランなどカンファレンスを行います。

ここでは総合病院の透析室での仕事内容を述べていますが、透析クリニックでもおおまかな内容は同じだと思います。

手術室での仕事内容

手術室では各診療科で使用される機器の準備や操作、点検を行います。

代表的なものと言えば人工心肺装置の操作が臨床工学技士の仕事の中では「華形」と言われるくらいやり甲斐があり責任もあると言われます。

その他にもレーザー装置やマイクロ顕微鏡、手術支援ロボットなどの装置を扱います。

手術室にあるME管理の機器は大型で購入価格もズバ抜けて高いものばかりなので、準備や片付けで部屋から運び出すのに緊張したりもします。

カテ室での仕事内容

カテ室では主に心筋梗塞や狭心症に対するPCI(経皮的冠動脈再建術)、不整脈に対するペースメーカー、心筋焼灼術などの立会い業務を行います。

施設によっては医師と共に清潔なガウンを着て治療にあたるところもあると思います。
 
 
カテ室では循環器領域の仕事が多く、急変や急患に対する迅速な動きが求められ、気が抜けません。(どの部署でも同じですが。)

最近では診療報酬の改定に伴い、ペースメーカーなどの遠隔モニタリングに関する仕事も増えてきています。

内視鏡室での仕事内容

近年、内視鏡検査・治療は低侵襲という点で急激に進歩していて、それに伴う使用機器もより高度になってきています。

部署専従の医師や看護師さん達だけでの対応は切迫していて、臨床工学技士が内視鏡業務を確立する事が急務としている病院もあるくらいです。

内視鏡室では主に医師の介助についたり、内視鏡の準備、点検、スコープの洗浄、管理を行います。

内視鏡室でも手術室の様に電気メスや凝固装置を使用する事があるのでこれらの準備やトラブル時の対応などもこなします。

集中治療室での仕事内容

集中治療室では人工呼吸器、急性血液浄化、補助循環など、重症な患者さんに対する治療に深く関わります。

そのため臨床工学技士として行う業務の集大成とも言われます。
 
 
医師、看護師さんをはじめ、薬剤師さん、理学療法士さん、栄養士さんなど多くの職種の方と共に患者さんの治療に介入するので、幅広い知識とコミュニケーション能力が求められます。

当院では物品の管理なども臨床工学技士が行っています。

一般病棟での仕事内容

一般病棟では各科に応じたMEの機器のチェックを行います。

呼吸器内科病棟ではネーザルハイフローやNPPVのチェック、循環器科病棟ではペースメーカーのチェックといった具合です。

どの科にも共通しているのはバイタル中央管理モニターのテレメトリー設定やトラブル対応、除細動器やAEDの点検などです。
 
 

臨床工学技士の通常業務以外の仕事

上記の業務以外にも臨床工学技士はたくさんの仕事をこなしています。

医療機器にまつわる安全管理委員会、ミーティング、多職種合同カンファレンスへの参加、院内勉強会の主催。

これらを通じて院内全体での情報共有を行います。

次の事柄は業務とは別に考えなければなりませんが、院外での勉強会、臨床工学技士会主催の委員会やセミナー、学会での発表や参加、認定師の取得、研究なども行い、知識を常に最新の情報にアップデートしています。

最近では臨床工学技士が企業とマッチングして、新たな医療機器の開発やデザインに関わる医工連携という取り組みが盛んになってきています。
 
 

臨床工学技士のオンコール体制

施設によってはオンコール(緊急呼び出し)体制をとっているところがあります。

当番制なので対応できる人数の多い施設では余裕があるかも知れませんが、臨床工学技士の人数の少ない施設は大変だと思います。
 
 
オンコールは日勤帯での就業後も拘束が続くので通常オンコール手当てが支払われますが、施設によっては電話対応だけではダメで、夜中だろうが明け方だろうが実際に病院に来て仕事をしないと手当てがつかないところもあります。

この他、当直や宿直体制をとっている施設もあります。病院に泊まり込んで夜中の緊急に対応します。

この場合は「勤務」となるので、手当てが支払われます。

時間外勤務でも頑張ってこなしてたくさんの給料を貰うか、プライベート重視で休みの日はしっかり休みたいかは人によるところだと思います。

この記事を読んでくれている人の中に進路に悩んでいる学生さんがいるなら、どういった働き方をしたいかよく考えておきましょう。
 
 

臨床工学技士の将来性

 
今回は臨床工学技士の仕事内容についてお話させて頂きました。

自分としても、臨床工学技士の仕事内容について考え直すいい機会となりました。
 
 
近年、医療機器のさらなる発達・開発、またAI技術の進化により臨床工学技士の仕事がなくなるのではないかと不安を煽るような文言をたまに見かけます。

確かに医療技術の進歩は目まぐるしいです。

しかしどれだけ進化した機械であっても、スタートボタンを押す、電源を切る、などの動作は結局人の手が必要になってきます。

また途中で機会がトラブルを起こしてしまい、停止したらどうするのか?

各部署間への移動や必要物品の管理が誰がするのか?
 
 
これらの観点から考えても、医療施設での臨床工学技士の必要度はそうそう下がるものではないと、個人的に考えています。

臨床工学技士の将来性はまだまだ伸びしろがあります。

時代の流れに置いていかれない様、常にアップデートを重ねていくことが大切だと思います。
 
 
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