急患の患者さんを対応している時に、後からペースメーカー植え込み患者さんだと気づいて慌ててしまった経験などありますでしょうか?
ペースメーカーのチェックはプログラマーと呼ばれる読み取り機を用いて行うのですが、植え込まれているデバイスのメーカー(会社)と同じ会社の読み取り機を用いて行わなければチェックは出来ません。
緊急でペースメーカーのチェックが必要になった際には、まずどこの会社のデバイスなのかを確認する必要がありますが、緊急時などは情報が足りていなかったり、会社名が記載されているペースメーカー手帳も持参されておらず、確認のしようがない場合もあります。
こんな時に役立つ、あまり知られていないペースメーカーデバイスの会社を見分ける便利な方法があるのでシェアしたいと思います。
目次
ペースメーカーデバイスの読み取り機
これはメドトロニック社のペースメーカーデバイス読み取り機です。
実際にはプログラマーといいます。
このプログラマーを使って植え込まれているデバイスと通信を行うことで、ペースメーカーに蓄積された情報を読み込んだり、ペースメーカー本体の残りの電池残量を確認したりすることが出来ます。
他にもモードや出力の変更、リード抵抗値、波高値、閾値の測定など、様々なことを行うことが出来ます。
最近ではタブレットタイプのプログラマーも登場し、身軽にチェックができるものも普及されてきています。
冒頭で説明したとおり、デバイスのチェックは患者さんに植え込まれた本体とプログラマーのメーカー(会社)を揃えなくてはなりません。
例えば写真のプログラマーはメドトロニック社のものですので、チェックする際、患者さんに植え込まれたペースメーカーデバイスがメドトロニック社のデバイスでなかった場合、情報を読み込んだり設定を変えることは出来ません。
仮にバイオトロニック社のデバイスが植え込まれている場合は、バイオトロニック社のプログラマーを用意する必要があります。
ペースメーカー手帳がなくても会社が分かる方法
基本的にどこの会社のペースメーカーが植え込まれているかは、患者さんが持っているペースメーカー手帳にて確認できます。
しかし緊急時など、患者さんのペースメーカー手帳がない場合もあると思います。
以前から掛かりつけとなっている医療機関であればカルテ上に情報があるかもしれませんが、初めて来院された場合はどうしても情報が足りない場合があります。
急いでペースメーカーチェックをしなければならない、しかしどこのメーカーか分からない。
こんな時にはレントゲンで確認することが出来ます。
以外に知られていませんが、ペースメーカー本体には各メーカーごとの印が書かれており、この文字の部分は不透過となっているので、透視で確認することが出来るんです。
事項にそれぞれの会社別の透視での見え方を紹介していきます。
メドトロニックのデバイス
ペースメーカー
これはメドトロニック社のペースメーカーをレントゲン撮影した写真です。
このデバイスでは上の方に「RNF」の文字が確認出来ますね。
その隣にある、おにぎりが縦に割れた様なナゾのマーク、これがメドトロニック社の印になります。
もし担当の患者さんにペースメーカーが植え込まれている事が判明し、どこの会社か分からない時は、本体が植え込まれている部位のレントゲン像を確認してみてください。
そこで本体にこのマークが確認できたら、それはメドトロニック社のペースメーカーデバイスである事が言えます。
ICD
今度のデバイスの会社はどこでしょう?
これも先程と同じくアルファベットの隣におにぎりの縦割れマークが確認出来ます。
よってこれもメドトロニック社のデバイスになりますね。
今回のデバイスは先程と比べ本体が少し大きく見えます。
これはICDと呼ばれる植込み型除細動器です。
ペースメーカーと同じCIEDs(心臓植込み型電気デバイス)という括りに含まれるデバイスで、機種は異なりますが会社のマークは同じなので判別がしやすいです。
CRT-D(P)
続いてこちらのデバイスの会社はどこでしょう?
今度は縦書きになっていますが、よく見ると先程と同じくアルファベットの隣におにぎり縦割れのマークが確認出来ます。
よってこれもメドトロニック社のデバイスです。
これはCRT-Dと呼ばれるデバイスで、主に心臓再同期療法を行うための機械になります。
これもCIEDsに含まれます。
この様にメドトロニック社のデバイスは機種が違っていても、どれも共通のマークが印字されているので分かりやすいと思います。
バイオトロニックのデバイス
ペースメーカー
今度はバイオトロニック社のペースメーカーです。
バイオトロニックはアルファベットの隣に、◯の中にヨットが浮かんだ様なマークがついています。
透視で本体にこのマークが見えた時は、会社はバイオトロニックだと思ってください。
ICD
続いてもバイオトロニック社のデバイスです。
今度はICDです。
ちょっと見えにくいかも知れませんが、同様に◯の中にヨットが浮かんだマークの様にも見えます。
アルファベットの文字はその本体の機種を表しているそうなのですが、機種はプログラマーで読み込めば分かることなので、ひとまずはこの印でバイオトロニックであることがわかれば十分です。
ボストン サイエンティフィックのデバイス
ICD
続いての会社はボストン サイエンティフィック社です。
この写真では、小さくて分かりにくいですが、BSC140と印字されているのが分かりますか?
ボストン サイエンティフィックは英語ではBoston Scientificと書きます。
このBoston Scientificを略して、【BSC】と表示しているんだろうと思います。
(数字の意味はすいませんわかりません、おそらく機種のシリアル番号の一部だろうと思います。)
ちなみに私はボストンのペースメーカーの透視写真を持っていなかったので今回はICDだけの紹介ですが、ペースメーカーの場合もBSCと印字されています。
(古いデバイスでは印字はされていない可能性もあるので注意してください。)
SJM(現Abbott)のデバイス
ペースメーカー
最後にSJM社のペースメーカーデバイスの透視写真をシェアします。
この写真も文字が小さく分かりにくいですが、SJM MIと印字されています。
紹介している写真では文字が小さくて分かりにくいですが、実際にレントゲンと撮りカルテに取り込めばそこで十分に拡大することが出来ますので、なんとか目を凝らして確認してみてください。
透視写真をみて、この文字を確認したらSJM社のデバイスですので、我々臨床工学技士はSJMのプログラマーを持って現場に馳せ参じます。
CRT-D
こちらはSJM社のCRT-Dです。
文字が印字されている場所が先程とは違っていますが、薄く【SJM】と書かれています。
その下のKCの文字は何なのでしょうか?よくわかりません。
これもおそらく機種のシリアル番号の一部なのかなと思います。
最後に
ここまで各メーカー、機種別にデバイスの区別をするヒントとなる会社の目印を紹介してきました。
しかし販売年や機種によってはこの通りでないものもあるかも知れませんので注意してください。
残念ながら私はこの記事で紹介したもの以外の写真はもう持っていないので、これ以上の紹介は出来ませんし他の機種と見比べてみることも出来ません。
機会があって入手できた場合は随時追加更新していこうと思います。
うまく説明できていましたか? 参考になった場合は「いいね!」「シェア」「ツイート」などで教えて下さい!
一応、健診機関の事務局なので、医療機関の人間としてアクセスしてますが、ペースメーカー植込みしているもので、ブログもしております。非常に貴重な情報で、興味のある人も多いと思うのですが、リンクして、ブログで紹介しても大丈夫でしょうか。
ありがとうございます。もちろん構いませんよ!
宜しくお願いします。
承認ありがとうございました。後日、リンクさせていただきます。
昨日の記事でリンクさせていただきました。ありがとうございました。興味のある方も多いと思いますが、医療関係者チェックが一つの障害になるかと思います。すべてとは言いませんが 可能なものは、そのチェックを外すことは、できないものでしょうか。