活動電位と静止膜電位の基礎

心臓の活動電位

 
活動電位・分極・再分極・静止膜電位などの生理学を覚えているでしょうか。

これらは臨床ではあまり使わない知識かもしれませんが、

心筋細胞が収縮と拡張を繰り返す動きをする基礎となるとても重要な内容です。

今回、活動電位の生理学について復習しておきます。

活動電位と分極

心筋細胞は細胞膜によって細胞外と細胞内に分かれています。

静止膜電位は電気的にはマグネットの様に細胞外はプラス極、
細胞内がマイナス極に分かれています。

この様にプラス極とマイナス極に分かれているから、

生理では「分極」していると表現されています。

マイナス極に帯電している細胞内がプラス極に傾き、細胞外と細胞内が両方ともプラス極になると、

分極を脱するので、「脱分極」と表現されます。
 
 
 
次に、先程プラス極に傾いた細胞内がもう一度マイナス極に傾くと、

細胞内と細胞外は再びマイナス極とプラス極に分かれるので「再分極」すると表現され、

これが繰り返されていきます。

繰り返し起こる分極と脱分極のことを活動電位と呼び、この一連の膜電位変化によって

興奮伝導と心筋収縮が起きます。
 
 

活動電位のしくみ

細胞内がマイナス極からプラス極に変わることにより活動電位が発生し、

心臓が収縮する事は分かりました。

では次にその極がなぜマイナス極からプラス極へ変化するのか復習します。

第4相

・静止期でここをスタートの直前と考えます
・細胞外にはプラス極の成分であるNaイオンとCaイオンがたくさん含有されています
・よって細胞外はプラス極、細胞内はマイナス極に分かれています
・つまり分極していると表現されます
 

活動電位と静止膜電位
活動電位と静止膜電位

第0相

・Naイオンが細胞外から細胞内へと急速に流れ込んでいきます
・Naイオンはプラスの成分を持っているので、細胞内はマイナス極からプラス極へと変化していく
・細胞内がプラス極へと変化し、細胞外との極の差がなくなります(分極を脱する)
・つまり脱分極したと表現されます
 

活動電位と静止膜電位
活動電位と静止膜電位

第1相

・Kイオンが細胞内から細胞外へ、ちょびっとだけ出ていきます
・Kイオンもプラスの成分を持っていて、それが細胞内から出ていくので、
 せっかくプラス極に傾いた細胞内は、出ていった分、少しだけマイナス極に近づきます
 

活動電位と静止膜電位
活動電位と静止膜電位

第2相

・プラスの成分であるCaイオンが細胞外から細胞内へと流れ込んできます
・同時にKイオンが細胞内から細胞外へと出ていきます
・プラスの成分であるCaイオンとKイオンの出入りのバランスがとれているので
 膜電位は一定に維持されます
 

活動電位と静止膜電位
活動電位と静止膜電位

第3相

・Caイオンの流入は一旦止まりますが、Kイオンの流出は続きます
・Kイオンが出続けるので、細胞内からはプラスの成分が失われ続けることとなり、
 マイナス極に変化していきます
・細胞外がプラス極になり、細胞内がマイナス極になり再び分極していきます
・つまり再分極と表現されます
 

活動電位と静止膜電位
活動電位と静止膜電位

第4相に戻り、繰り返される

・Na+K+ポンプの働きにより、細胞内に溜まったままのNaイオンは細胞外へ戻り、
 Kイオンは細胞内へと戻ります
・Na+Ca+交換系の働きにより、細胞内に溜まったCaイオンは細胞外へ戻り、
 Naイオンが細胞内へと戻ります
・それぞれのイオンはバランスのとれた移動をするので、膜電位は一定に維持されます
 

活動電位と静止膜電位
活動電位と静止膜電位

第2相のCaイオンに心臓収縮の仕組みがある

 
第0相で活動電位が発生し脱分極すると、第2相ではCaイオンが細胞内へ流入してきましたね。

このCaイオンの流入こそが特に心臓の収縮に深く関わっています。

簡単に説明しますと、

活動電位の発生により心筋細胞内に流入したCaイオンが

フィラメントと呼ばれる横紋筋を構成している細胞に結合し、収縮が起こります。

この事も、もしかしたら臨床ではあまり使われない知識かもしれませんが、

気になったらこれを機に復習してみてください。
 
 
 
※上記の解説はイメージを持ちやすい様に簡易な言葉や表現をしています。
教科書等でよく解説されている内容とは一部表現が異なっているかもしれません。


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