カテ室や循環器病棟に勤務されていてCAGやPCIに関わったことのある皆さん、「ハイラテ」という言葉を聞いたことがありますか?
ハイラテは冠動脈の名称の一つで、全体の訳20%程度で見られるとされる珍しい血管です。
AHA分類でも分類されていなく、教科書にもほとんど載っていません。
そこで今回、冠動脈のハイラテについて、イラストや実際のAngio画像を用いて説明しようと思います。
ハイラテとは
ハイラテとは、ハイ ラテラル(ブランチ)を略して呼んだものです。
日本語では高位側壁枝と言い、英語表記ではHigh Lateral Branchと書きます。
カルテ上ではHLやHLBと書かれている場合もあるでしょう。
Highは「高位、高いところ」、Lateralは「側面、側壁」、Branchは「枝」です。
その名の通り左冠動脈の高いところから分岐し、心臓の側壁を栄養する冠動脈血管になります。
実際にはLADとLCXの間の辺りから分岐しています。
ハイラテは、全体の20%程度にしか見られないとされる比較的珍しい血管です。
AHA分類でも分類されておらず、特有の番号もありません。
CAGやPCI中にドクターが「ハイラテがあるね〜。」などと話していたら、高位側壁枝のことなので、覚えておくと良いと思います。
ちなみにですが海外ではHigh Lateral Branchとは呼ばず、Ramus Intermediateと呼ぶそうです。
基本的な冠動脈AHA分類の番号と覚え方はコチラの記事を参考にしてみてください。
ハイラテの解剖
ハイラテは、LADとLCXの分岐部の間から派生しています。
つまり左冠動脈を造影した際、左冠動脈主幹部(LMT)からは大きく3本の枝に分かれている様に造影されます。


症例によっては大きな#9(D1 対角枝)なのか迷う場合もあると思いますが、少なくとも#9は「LADから鋭角に分岐する枝」と定義されています。
LADとLCXの間から太い血管が分岐している様に見えたとしても、様々な方向から観察し、それが明らかにLADから分岐しているならばハイラテではなく#9と判断します。
同様に、#12(OM 鈍角枝)と迷う場合でも、それがLCXから分岐しているものならばハイラテではなく#12と判断します。
恥ずかしながら私は高位側壁枝について定義してある書籍や文献を読んだがないので断言はできないのですが、私はハイラテについてこの様に理解しています。
(明確に定義してあるものがあるなら、是非教えてください!)
ある方に教えていただいた情報によると、LMTから完全に3分岐になっている時だけハイラテと呼ぶそうです。
それ以外はD1かOMであるとのこと。
またハイラテと思しき太い血管がある症例では、経験上、LCXの#12や#14が小さくて細い場合が多い印象があります。
これは太くて大きなハイラテが心臓の側壁への血液供給を頑張ってくれている代わりに、本来そこへ血液を供給する役割のある#12や#14がサボって低形成いると考えられます。
(あくまで経験上の感想ですよ。)
ハイラテの実際
以下に示すAngio画像は、実際にCAGにて造影されたハイラテのです。


RAOのCAG像では、LMTから大きな血管が3本伸びています。
この内、真ん中の血管はLADとLCXの間から伸びていて、心臓の側壁〜後壁方向を灌流するハイラテであることが分かります。
また、LADからはD1(第1対角枝)も伸びていますね。
LAOのCAG像でも確認し、LMTからは完全に3分岐となっていることが確認できます。
スパイダービューですので画像の左方向へ伸びる血管がLAD、右(下)方向へ伸びる血管がLCXです。
そしてその間から伸びる血管はハイラテであると判断できます。

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