少子高齢化が進み、2008年に後期高齢者医療制度が創設されました。
現在65歳以上の老人医療費は17兆円余りと言われ、国民医療費の半分に及んでいます。
それだけ高齢者の方の集中治療管理をする機会が増えているということです。
そこで、周術期・集中治療管理をする上で知っておきたい高齢者の生理的特徴をまとめました。
目次
循環器
加齢とともに動脈硬化の進展に伴う大動脈壁の伸展性低下により収縮期圧の上昇及び脈圧が開大する。
圧受容器反射や神経系の障害、RAA系、PGE系などの液性血圧調節機能の低下により臓器への血流自動調節予備能が低下し、降圧による腎機能悪化や脳血管障害を招きやすくなる。
呼吸器
高齢者では弾性繊維の減少・弾性収縮力の低下により、肺は過膨張になりコンプライアンスが低下する。
胸壁拡張能の低下により末梢気道は閉塞しやすく、機能的残気量の増加・呼気予備量の低下・肺活量の低下に至る。
肺コンプライアンスの低下や呼吸筋の筋力低下により1秒率が低下し、さらに喫煙が加わると慢性閉塞性肺疾患(COPD)を誘発しやすくなる。
腎機能
動脈硬化が進行し、糸球体が不可逆に硬化する。高齢者では腎臓のGFRが平均60ml/minまで低下すると言われています。
高齢者では筋肉量が減少しているが、クレアチニン値が正常値であっても腎機能が低下している場合がある。
内分泌機能
加齢に伴いインスリン分泌の低下、末梢組織でのインスリン感受性の低下をきたし、耐糖能が低下する。
つまり糖尿病を招きやすくなる。
男性では総コレステロール・LDLコレステロール・中性脂肪は中年期にピークを迎え高齢期では減少していくが、女性の場合、高齢期も高値を維持するので高脂血症を羅患する。
薬物動態
加齢に伴う小腸表面積が減少し、薬物吸収の効率が非常に小さくなる。
肝機能・腎機能の低下から薬物の代謝及び排泄も低下する。
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