ECMO中に起こる代表的なトラブル、ウェットラングに続いて、血漿リーク(プラズマリークとも言います)について解説します。
これは人工肺の内部で、血液の成分から血漿液が漏れ出て(リークして)いることで起こる現象です。
目次
血漿リークのメカニズム
人工肺の膜には血液と酸素を隔てるとても薄い膜があります。
さらに膜には0.05μmほどの微細な孔が開けられていて、この孔を介して血液に酸素が取り込まれているのです(シリコンを使った均質膜には孔は開けられていませんが、今は気にしなくていいです)。
ここで一つ疑問が浮かびます。
膜に孔が開いているなら、なぜ普段から血液が漏れ出てこないのか?
導入したばかりの人工肺では、実際には漏れてはきません。
なぜなら人工肺の膜の素材は水をはじく疎水性で出来ていて、さらに孔には表面張力が働いているからです。
ただし、この膜の疎水性は時間の経過とともに失われていきます。
血漿リークとは長期間人工肺を使用し、膜の疎水性と表面張力が失われた時に発生します。
膜の孔は0.05μm、赤血球の大きさは約7μmなので、赤血球は漏れ出ていくことなく血漿成分のみ漏れ出ていくというのが血漿リークのメカニズムとなります。
【動画】血漿リークの様子
対処法
血漿リークが起こってしまった人工肺のガス交換能は著しく低下します。
ウェットラングによるガス交換能の低下は一時的ですが、血漿リークによるものはもとに戻ることはありません。
早めの人工肺の交換を考慮した方がいいでしょう。
オススメの教科書
最後にECMOについてオススメの教科書を紹介します。
プラズマリークの詳しい説明はもちろん、ECMOの原理、管理法、生理についても詳しく書いてあります。
一見ムズかしそうなタイトルですが、写真やイラスがかなり多く載っていて非常に分かりやすいですよ!
ECMO症例を経験する機会がある方にとってのバイブルとなり得る一冊です。
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