【ペースメーカー】アンダーセンシング、オーバーセンシングについて解説します。

アンダーセンシング,オーバーセンシング
スポンサーリンク

 
ペースメーカーをつけている患者さんを担当した経験のある人なら、

一度はアンダーセンシング、オーバーセンシングという言葉を聞いたことがあると思います。

どちらともセンシング(感知)について起こる得るトラブルですが、「よくわからない」、

「教科書を読んでみたけどイマイチ…」という声を聞きます。

そこでペースメーカーのアンダーセンシング、オーバーセンシングについてわかりやすく、

体表ECG、モードVVIを例に解説していきたいと思います。

センシングとは

そもそもペースメーカーにはセンシング感度という設定項目があります。

これはなにかというと、例えるならペースメーカーの「目」です。
 
アンダーセンシング,オーバーセンシング
 
ペースメーカーは心臓が動いていなければペーシングを打ち、

心臓が動いていればペーシングを抑制します。

どのようにして心臓が動いているか判断するかというと、

心電図上の設定されたセンシング感度(目)が、心臓の収縮を表すR波を捉える事ができれば、

心臓は動いていると判断されます。

そして心電図上にR波がなければ心臓は動いていないと判断され、ペーシングを出力します。

まずはこの仕組みを理解してみて下さい。

アンダーセンシングとは

先程のイラストではR波の高さが5mVでした。

R波の高さは心臓の収縮の勢いを比喩しています。

ということは心機能が低下している患者さんではR波の高さが低くなる可能性があります。
 
 
 
この時センシング感度が4mVでR波の高さが3mVしかない場合、

センシングの目ではR波を捉える事は出来ません。

これがアンダーセンシングと呼ばれるセンシング不全です。

アンダーセンシング,オーバーセンシング

センシング感度よりも、R波が下(アンダー)にあるので、そう呼ばれます。

アンダーセンシングの危険と対処

アンダーセンシングが起こるとなにが良くないのか?

考えられるのはSpike on Tです。

R on Tという言葉は聞き馴染みがあると思います。

心電図のT波のところにPVCなどのR波が立つとVFに移行しやすいと言われている現象です。

ペースメーカーが移植されている患者さんではペーシングスパイクが打たれるので

Spike on Tと表現されます。
 
 
 
ペースメーカーは設定されたセンシング感度よりも低いR波は捉えることが出来ません。

心臓が動いていないと判断したペースメーカーは心臓が止まらないようにペーシングを打ちます。

しかしペースメーカーの目に見えていないだけで、

実際には心臓は動いているのでP QRS T波は存在しています。

その自己心拍のT波のところにペーシングスパイクが打たれるとSpike on Tとなり、

時にVFに移行してしまう危険があります。

アンダーセンシング,オーバーセンシング

対処法はセンシング感度を低く(鋭く)することです。

「鋭く」と表現したのは、小さなR波も見逃さないように厳しくしたという意味です。

ただしセンシング感度は低くしすぎると、

逆にオーバーセンシングなどの弊害が起こりうるので注意が必要です。

オーバーセンシングとは

先程のイラストの続きで考えてみます。

アンダーセンシング,オーバーセンシング

センシング感度を4mVから2mVに低く(鋭く)したおかげで小さなR波でも捉える事が出来ました。

しかし今度はT波もペースメーカーの目の高さに引っかかってきてしまいました。
 
 
 
ペースメーカーのセンシングシステムは単純なので、

目の高さにかかってきたものを全てR波とみなしてしまいます。

(実際には波高に対する周波数帯域フィルタやスルーレートを検出して心房波や心室波を選択的に認識していますが、今回の解説では割愛します。)

 
 
このR波ではないものをR波と誤認識してしまうことをオーバーセンシングと呼びます。

オーバーセンシングの危険と対処

スポンサーリンク

 
1つ前のイラストの様にT波をオーバーセンスしてしまうと、

この数秒間で心臓は2回収縮したとペースメーカーが誤認識してしまいます。

そうなると次のペーシングが遅れてしまう危険がありますね。

オーバーセンシングを防ぐためには、センシング感度を2mVから2.5mVに上げる(鈍くする)必要があります。

アンダーセンシング,オーバーセンシング
 

また、センシング感度を正しく調整しても

ノイズや筋電位の混入が起こることでオーバーセンシングを引き起こします。
 
 
例えば自己心拍数が30bpm程度しかない患者さんに、

レート60のVVIペースメーカーを導入したとします。

レート60ということは1秒間に1回ペーシングが入ります。

そこに筋電位やノイズが入ってしまい、ペースメーカーの目の高さまで来たとすると、

それをペースメーカーはR波として判断してしまうのでペーシングは打ちません。

その状態が続くと患者さんは心拍数30bpmで経過してしまい、

「ペースメーカーを導入したはずなのにどうして?」ということになります。

アンダーセンシング,オーバーセンシング

対処法としてはノイズや筋電位混入の原因を除去します。
 

今回の例のようにR波の高さが低く、かつT波も高い、ノイズも混入してくる

といった場合は非常に難しいですが、

①ペースメーカーリードの固定位置をR波が高くとれる位置に調整する、

②モードを固定レート型に変更する

といった対応を考慮します。
 
 
 
以下の教科書を参考にしました。


スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください