今回はBiLevelモードについてです。
このモードはいわゆるBIPAPのモードの事ですが、実際どの様な動作をするのでしょう。
BiLevelは一般的に同調性が良いと言われていますが、それは何故でしょう?
BiLevelの動き方についてCOVIDIEN(現Medtronic)社製 人工呼吸器PB840を例に解説します。
目次
BiLevelってどーゆーモード?
BiLevelは【Biphasic Positive Airway Pressure】事で、
日本語に訳すと、二相性陽圧換気というモードです。
このモードの特徴としては、
・高位相のPEEPと低位相のPEEPを設定できる
・自発呼吸がなければ、SIMVなどと換気パターンは変わらない
・自発呼吸があれば、換気中どのタイミングでも自発呼吸が可能
が挙げられます。…と言ってもよく意味がわかりません。
なので、次にグラフィックモニターの画像を使って解説していきます。
自発呼吸がない場合のSIMVの動き方
まずは分かりやすく自発呼吸がない場合でのBiLevelの動きを見てみましょう。
はじめに圧の設定を見ます。
設定にPEEPの項目が2つありますよね?
PEEP Lが低位相のPEEP(Low PEEPと言います)で、PPEP Hが高位相のPEEP(High PEEPと言います)です。
Low PEEPが一般的な意味でのPEEPと同じものです。
High PEEPは吸気時にかかる圧ですが、Low PEEPから上乗せする値ではなく、
設定が20cmH2Oなら、吸気時には単純に20cmH2Oまで圧をかけるという設定です。
これに自発呼吸が出現するとどうなるのでしょう?
Low PEEP時に自発呼吸がある場合
PS(Pressure Support)の設定は自発呼吸があった場合のみ、吸気努力をサポートします。
図ではPSが20cmH2Oの設定になっています。
これはLow PEEPから上乗せした値までサポートをかける設定なので、呼気相(Low PEEP)に
自発呼吸を感知すると、25cmH2Oまで圧がかかります。
High PEEP時にも自発呼吸がある場合
初めにBiLevelモードは、換気中、どのタイミングでも自発呼吸ができると説明しました。
Low PEEP時に自発呼吸が出現すると、サポートがかかりました。
これと同様にHigh PEEP時(吸気時)にもサポートがかかります。
呼吸器の設定よりも、患者さんがもっと吸いたくて吸気努力が出現した時には、それを感知すると
High PEEP時であっても設定したPSの値までサポート換気がかかります。
ただし、PSの設定が、High PEEPとLow PEEPの差よりも小さい場合は少し異なります。
図の様な設定だと、High PEEP時に自発呼吸が出現しても、PSの設定は10cmH2Oなので、
Low PEEPの5+PSの10で合計15cmH2Oまでしか圧がかかりません。
しかし、High PEEPの設定は20なので、患者さんはもっと吸いたいのに、むしろ吸えない設定になっています。
こうなると呼吸仕事量を増やし、同調性もわるくなるので、
PSの設定が、High PEEPとLow PEEPの差よりも小さい場合は、High PEEP時には
一律1.5cmH2Oのサポート換気がかかります。
これなら、もっともっと吸いたい場合だと多少、足りないかも知れませんが、
全くサポートしないという自体は免れますね。
SIMVモードとの違い
自発呼吸がない場合
自発呼吸がない場合だと呼吸器の中の換気アルゴリズムは違うものの、
換気の動作モードとしては何も変わりません。
自発呼吸がある場合
自発呼吸がある場合だと、SIMVモードは換気サイクル内の初めの吸気努力に対してPC(調節換気)をかけ、
その後の吸気努力に対してはPS(サポート)換気をかける様に動作します。
BiLevelだと呼吸相のどのタイミングであっても設定したPS(サポート)換気がかかります。
この記事についてはYouTube動画にて、同じ内容をアニメーションで波形を動かしながら解説していますので、
参考にしてみて下さい。
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