人工呼吸器のモード【SIMV】の動き方 〜PB840の場合〜

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人工呼吸器のモードはたくさん種類があって難しいですよね。

中でもSIMVは日本ではよく使われるモードとして有名ですが、

実際どの様な動作をするのでしょう。

ここでは同調性や予後などの話は一旦置いといて、

SIMVの動き方についてCOVIDIEN(現Medtronic)社製 人工呼吸器PB840を例に解説します。

SIMVってどーゆーモード?

SIMVは【Synchronized Intermittent Mandatory Ventilationの】事で、

日本語に訳すと、同期式間欠的強制換気というモードです。

このモードの特徴としては、

・患者さんの呼吸に同期して間欠的に調節換気をする
・自発呼吸がなければ、設定した呼吸回数の調節換気がされる
・自発呼吸があれば、そのタイミングに同期して調節換気や補助換気が行われる

が挙げられます。…と言ってもよく意味がわかりません。

なので、次にグラフィックモニターの画像を使って解説していきます。
 
 

自発呼吸がない場合のSIMVの動き方

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※モードは従圧式SIMVです。
 
 
まずは分かりやすく自発呼吸がない場合でのSIMVの動きを見てみましょう。

はじめに圧の設定を見ます。

設定ではPEEPが5cmH2O、PIが15cmH2Oとなっています。

PIとは【Pressure Inspiratory】の事で、吸気圧の事を意味します。

PIはPEEPの設定値から上乗せするように圧をかけるので、現在の設定だと、

5+15=20cmH2Oまで圧がかかります。

PS(Pressure Support)は自発呼吸があった場合のみ、吸気努力をサポートします。

これに自発呼吸が出現するとどうなるのでしょう?
 
 

自発呼吸がある場合

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先程と全く同じ設定で自発呼吸が出現するとこの様な動きになります。

なぜこの様な動きになるのかを説明します。まずは呼吸回数の設定を見ます。

現在呼吸回数は12回と設定されています。これは1分間(60秒間)に12回呼吸させるという設定なので、

60÷12=5で、1呼吸にかける時間は5秒です。

この5秒間を換気サイクルと言います。

ちなみに吸気時間【TI:Time Inspiratory】の設定は1.00秒となっているので、

5-1=4、つまり5秒間の1呼吸のうち、吸気時間は1秒、呼気時間は4秒という事がわかります。
 
 

換気サイクルとトリガウィンド

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呼吸器PB840は呼吸回数を設定すると、自動で5秒間の換気サイクルを計算し、

さらにその換気サイクル60%をトリガウィンドとして設定します。

現在の設定だと5秒の60%なので、3秒がトリガウィンドと計算されます。

この3秒の間に自発呼吸がなければモニターには【強制】と表示される調節換気(PI)がかかります。

そしてこの換気サイクルが終了すると次の換気サイクルに入ります。

同じ様にトリガウィンドも設定されます。
 
 
画像では2回目の換気サイクルにて、トリガウィンド内に自発呼吸が出現しています。

これを感知するとモニターには【補助】と表示される調節換気(PI)がかかります。

さらにこの2回目の換気サイクルにはもう1回自発呼吸が出現しています。

が、これはトリガウィンド外であるためこれに関しては【自発】と表示されるサポート換気(PS)がかかります。

(ちなみに換気サイクルが始まってすぐに自発呼吸が出現した場合、補助調節換気はかかりますが、その後、換気サイクルが終了するまで補助調節換気がかかることはありません。全て自発サポート換気となります。)
 
 
つまりSIMVは設定された呼吸回数によって換気サイクルが計算され、その換気サイクル内に

1回の調節換気(PI)を保証してくれるモードです。
 
 

A/Cモードとの違い

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自発呼吸がない場合

自発呼吸がない場合だとA/Cモードと変わりはありません。
 
 

自発呼吸がある場合

自発呼吸がある場合だと、A/Cモードは全ての吸気努力に対して設定した調節換気圧(PI)までかかるが、

それに対してSIMVは換気サイクル内の初めの吸気努力以外に対しては補助換気(PS)をかける
 
 
 
この記事についてはYouTube動画にて、同じ内容をアニメーションで波形を動かしながら解説していますので、

参考にしてみて下さい。

 
 


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10 件のコメント

  • 川室 より:

    いつも大変勉強になります。ご質問なんですが、SIMVとBIPAPの使いわけはどのようになされているのかとARDSにたいしては、APRVとかではなくA/Cで管理なされているのかお聞きしたいのですが、お願い致します。

    • 岡井さん より:

      ご質問ありがとうございます^_^
      当院では基本的にはSIMVで管理し、鎮静を浅くしたいが吸気努力が強い場合、SIMVでは同調性がとりづらい場合などにBiPAPを試しています。

      ARDSに対しても同様で、はじめはSIMVやA/Cモードを選択し、各パラメーターが改善に向かわない場合に腹臥位やAPRVを試してみているといった印象です。

      • 川室 より:

        ご返答ありがとうございました。

        • 川室 より:

          度々のご質問なんですが、機種ごとにトリガウィンドの設定は違うのですか?呼吸器のことがあまり理解してないのでご質問答えて頂ければ幸いです。

          • 川室 より:

            ご返答ありがとうございます。当院では、ハミルトンC3を使用しております。

          • 岡井さん より:

            勉強熱心で素晴らしいと思います(^^)
            トリガウィンドの設定(アルゴリズム)は機種ごとに違います。どの機種でも「トリガウィンドの設定項目」はなく、設定した呼吸回数や吸気時間などから計算され自動でプログラムされます。

  • コバ より:

    質問です。
    simv,PEEP5,Pi15,PS10
    調節換気→5+15=20
    自発呼吸の補助換気→5+10=15
    PSをPiと同じ15に設定した場合、自発でも圧は20になるので
    ACモードの調節換気と同じになりますか?

    • 岡井さん より:

      いえ、異なります。
      設定を調節して自発呼吸時の補助圧を20mmHgになる様にしても、それはあくまで補助であり
      その場合の呼気への移行はEsenseの設定が決定します。
      これに対しACモードは吸気時間の設定が呼気への移行を決定するので、この点で異なります。

      • コバ より:

        ご返答ありがとうございます。
        更に質問です。
        呼気への移行がEsence25とありますが、どう解釈したら良いですか?
        また、Vsence3の解釈の仕方も教えて下さい。

        • 岡井さん より:

          Esensの説明は、コチラの動画を参考にしてください。

          (機種は異なりますが、サイクルOFFがEsensと同じ機能となります)

          Vsensはフロー感度の事を表しています。
          Vsens3の設定では、吸気時に回路内を3.0L/min以上の気流変動があった場合、人工呼吸器は患者が吸気した(自発的に息を吸い込もうとしたから回路内の気流変動があった)と感知して、サポートやアシストが行われます。
          コチラの動画でも少しだけ触れています。

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