人工呼吸器のモード PRVCについて解説します。

人工呼吸器,モード,PRVC
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PRVCというモードを使用したことはありますか?

これはメーカー曰く、PVC(従圧式)とVCV(従量式)を組み合わせ、それぞれの良いトコ取りをしたモードと言うのがコンセプトの様ですが、当院ではほとんど使われていません。

今回PRVCについて教えてほしいとのコメントを頂きましたので、これを機に自分自身のためにも復習してみたいと思います。

はじめに

PRVCはPressure Regulated Volume Controlの頭文字を繋げたモードの名称で、日本語で表すと圧制御式従量換気と言います。

これはカンタンに言うと「基本的には従量式で換気量が規定されているが、その時の送気圧は換気毎に自動で調節される」と言ったモードになります。

PRVCを分かりやすく丁寧に説明するために、まずはPCVとVCVについて簡単にまとめます。
 
 

PCV(従圧式換気)とは

PCVとは設定した気道内圧を超えない様に送気するモードです。

換気量は肺コンプライアンスによって変動しますが、気道内圧が上がりすぎないので、VILI(人工呼吸器関連肺傷害)の発生を抑えることに対して有利ですし、同調性向上や呼吸仕事量の軽減といった利点もあります。
 
 

VCV(従量式換気)とは

VCVは一定の流量で換気量に達するまで送気するモードです。

換気量は保証されますが、肺コンプライアンスが低い場合、無理矢理にでも設定した換気量を送気しようとするので、肺保護の観点からは不利と言えます。
 
 

PRVCの類似モード

繰り返しますがPRVCは「PCVとVCVの良いトコ取り」と言うのが、このモードのコンセプトです。

そしてこのモードは人工呼吸器のそれぞれのメーカーによって、名称が異なります。

<メーカー別PRVCの名称>
PRVC,人工呼吸器,モード

※この記事では一般的に名が知られているPRVCで話を勧めていきます。
 
 

PRVCの動き方

PRVCモードを選択し、目標とする1回換気量を設定すると、まず動肺コンプライアンスが測定されます。

その測定結果から
「この患者の肺コンプライアンスで目標換気量を達成する為には、どの位の送気圧が必要なのか?」

という計算が行われ、次の換気からその計算値を超えない程度で送気が行われます。

さらにその換気からも送気量と目標換気量を比較しながら次の送気圧が計算され、次の換気に適応されます。

これが繰り返されます。
 
 
【目標換気量を達成できた場合】
次の換気では送気圧が低く設定され、より肺に負担の少ない換気となる。
 
 
【目標換気量を達成できなかった場合】
次の換気では送気圧が高く設定され、なんとか目標換気量を達成させる。

ただし調節される送気圧にも上限があり、上限値に達した場合、1回換気量は目標換気量を達成する事はできない。
 
 
こういった動きをするのがPRVCです。
 
 

PRVCの欠点

上記のことだけを真に受けると、いかにも肺に優しくて、かつ換気量も保証してくれる素晴らしいモードの様に捉えられます。

ではなぜ多くの施設でこのモードが使われていないのでしょうか?

ここからは患者の状態をパターンに分け、動き方の手順を書きます。
 
 

肺の病状が進行し、肺コンプライアンスが低下していっている場合は危険

仮に目標換気量の設定が500mLなら、500mLを入れようとする

肺が硬いので、換気量が入りにくい

送気圧の上限にかかり目標換気量を達成できなかったので、次の換気では送気圧をあげてしまう

送気圧が上がると肺にかかる負担が大きくなり、悪い肺はより悪くなる。
 
 

吸気努力が強い場合は悪循環

吸気努力が強いという事は、横隔膜を引き下げて胸腔内圧を陰圧にしようとする動きになるので、経肺圧が増大し、同じ送気圧でも目標換気量を達成できてしまう

目標換気量を達成できてしまったが故に、次の送気圧を下げてしまう

送気圧が下がると言う事は呼吸器からの補助が弱くなり、患者はさらに努力して吸おうとしてしまうので、その吸気努力によってまたしても目標換気量を達成してしまう

同様に送気圧が下げられ、患者としてはただただ呼吸仕事量が増え呼吸筋が疲労し、これが悪循環となる

しかもこの流れだとアラームが鳴らないのでスタッフは気づくことができない。
 
 

PRVCが有効な症例

先程の説明の様にPRVCの欠点ばかりを並べてみると非常に使いづらいモードの様に聞こえますが、症例によってはメーカーの言うコンセプト通りPCVとVCVの良いトコ取りを実現できます。
 
 
例えば、全麻術後など肺の状態は悪くなく、肺コンプライアンスも高い場合を考えてみて下さい。

仮に目標換気量の設定が500mLなら、500mLを送気する

肺が柔らかいので、500mL入っても気道内圧はそこまで上がらない

気道内圧がそこまで上がる事なく目標換気量を達成できたので、次の換気では送気圧が低く調節される
 
 
この様に肺にとって優しい換気を行え、徐々に呼吸器の補助を減らせていけるので、人工呼吸器離脱に向けて動いてくれます。

この他にも、肺の状態に問題のない呼吸中枢系、末梢神経系・呼吸筋の傷害などが原因で呼吸不全をきたしている場合はPRVCは相性のいいモードと言えます。
 
 

最後に

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最後にPRVCついて詳しく書いてある教科書はコレ!

その他にもいろんなモード、人工呼吸器の基礎から応用まで網羅されている最強の一冊です。

竹内 宗之 (編集), 則末 泰博 (編集), JSEPTIC(日本集中治療教育研究会) (編集)
 
 
 


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5 件のコメント

  • 匿名 より:

    とても勉強になります。補正圧リミットアラームに関して説明していただけると幸いです。

    • 岡井さん より:

      コメントありがとうございます(^^)

      PRVCでは目標換気量を達成できない場合に送気圧を上げて換気量を増やそうとしますが、
      その送気圧にも上限があり、それはサーボの場合だと「気道内圧上限アラーム値の5cmH2O下まで」です。
      例えばアラーム値が40cmH2Oに設定されている場合だと送気圧はMAXでも35cmH2Oまでしか調節されません。
      ですが目標換気量を達成するために、さらに送気圧を上げなければならない場合に補正圧リミットアラームが鳴ります。

      このアラームを解除するためには、目標換気量の設定を下げるか、気道内圧上限アラーム値を上げる必要があります。

      • 匿名 より:

        返信ありがとうございます!勉強になります。
        Servoでの5cmH2O下は知りませんでした。
        というとなると肺コンプライアンスが低下した際に補正圧リミットアラームが出現し易い、で合っていますか?質問連投申し訳ございません。

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