auto PEEP(内因性PEEP)とは、気管支狭窄などが原因で患者さんの呼気時間が長く、呼気を吐ききる前に次の吸気が送り込まれてしまい、呼気終末期に肺胞に陽圧が残っている現象をいいます。
auto PEEPが発生することによってどのような事態が起こるのか?注意点、また対処法などをまとめてみます。
目次
auto PEEPの原因
主な原因として
①気道抵抗の上昇
②呼気時間の短縮
が挙げられます。
さらに①が起こる原因として、慢性気管支炎による気道内分泌物・気管支喘息・気管支攣縮などがあります。
ICUで挿管管理をしている患者さんで、このような既往がある患者は要注意です。
auto PEEPの悪影響
auto PEEP状態が続くと、死腔量が増加するので換気効率が悪くなります。
また人工呼吸器のミストリガーの要因となってしまうので、同じく換気効率が悪くなります。
Auto PEEPにより胸腔内圧が増加することで、心拍出量低下・低血圧など循環系にも影響を与えます。
気胸の発生リスクも上昇します。
auto PEEP時の波形
人工呼吸器管理中にauto PEEPが発生すると、モニターはこの様な波形が描かれます。
赤丸のところが目印となります。
フロー波形で、呼気終末の部分が0に戻っていません。
これは肺に溜まった吸気を呼気として吐ききる前に次の吸気が始まっていている様子を表しています。
auto PEEP発生時の対処法
気道抵抗を下げるために気管支拡張薬の使用などを考慮します。
気道抵抗を下げる事が難しい場合は、呼吸回数を減らし呼気時間を延長します。
呼気時間を長く設定することで、肺に溜まった空気を吐く時間を確保します。
またPEEPの設定を少しずつ上げていくと、気道が広がりauto PEEPはかからなくなります。
いつも拝見させていただいて、勉強させてもらっています。
すみません。少し教えてほしいのですが、
「auto PEEP状態が続くと、死腔量が増加するので換気効率が悪くなります。」
というのは、換気血流比が悪くなる状態がつづくから、ということでしょうか。
ありがとうございます。
Auto PEEP状態が続くと肺胞自体が過膨張となるためV/Qミスマッチとなり、肺胞死腔が増大します。
また患者さんの程度にもよりますが、AutoPEEPにより過度なPEEPが気道の拡張を来たし、解剖学的死腔の増加も引き起こすとも言われています。