異常Q波の落とし穴 異常Q波を読むコツを解説します。

異常Q波

 
心電図を読むための知識として異常Q波という言葉を聞いたことがあると思います。

異常Q波とは一般的に幅広で深さのあるQ波のことを言いますが、

12誘導を見て深いQが全て異常Q波かと言うとそうではありません。

異常Q波を読む為に是非知っておいてほしい事柄を紹介します。

異常Q波とは

異常Q波は、正常では無いQ波、幅が広いQ波、深さのあるQ波を「異常Q波」と呼び、

臨床的意義は、貫壁性の心筋梗塞、陳旧性心筋梗塞とされています。

また心筋梗塞の他に心筋炎、心筋症、アミロイドーシスなどでも認められる事があります。
 
 

異常Q波の定義

 
・Q波の幅が0.04秒(1mm)以上で、かつ
・Q波の深さがR波の高さの1/4以上のもの
 
 
上記が教科書的な異常Q波の定義です。

しかし、臨床では定義上の異常Q波はたまに見かけますが、

それらが全て臨床的意義をもった異常な波形であるとは限りません。

そこで異常Q波を読むためのコツを以下に書きます。
 
 

異常Q波の落とし穴

 
異常Q波かな?と思ったら、次のことを確認してください。

・Ⅱ、aVF誘導でQを伴っていないⅢ誘導のみの異常Q波は正常
・Ⅰ誘導でQを伴っていないaVLのみの異常Q波は正常
 
 
この様に異常Q波を疑った場合は、2つ以上の誘導でチェックしなければなりません。

異常Q波を見つけても、上記の様に1つの誘導でのみ起こっている場合は正常と判断します。

何故かあまり知られていませんが、とても重要なことです。
 
 
 
本来、異常Q波の鑑別はとても難しいものです。

1953年に報告されたGoldbergerによる「異常Q波の定義」では、

・Ⅰ誘導では波高が1mm以上のQ波
・Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導ではR波高の25%以上のQ波
・aVL誘導では陽性P波、T波を認める場合のR波高の50%以上のQ波
・V2〜V6誘導ではQ波高がR波高の25%以上の場合

とされています。

しかしこれだけの事を考えながら心電図を読んでいては、正直、時間のかけ過ぎです。

覚える必要はありません。
 
 
ただし一つの誘導だけで異常Q波と判断してしまうとダマされる事があるので、

複数の誘導に注目することを覚えていてほしいと思います。
 

日本不整脈心電学会 心電図検定委員会(著,編集)
 
 


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