冠動脈の狭窄と心電図ST変化の仕組み

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心筋虚血の指標となるSTの変化を観察することは、

患者さんの心筋がどれほどの障害を受けているか予測する上で非常に重要です。

そもそもなぜSTが変化するのか、その仕組みを理解しておきましょう。

心電図と電気信号

心電図は体表に電極を貼ることで、心臓の興奮における微弱な電気信号を捉え、波形として画像化しています。

興奮電位が電極を貼ってある方向に向かう様に動くと、心電図の波形は大きく(または上向き)に描かれます。

逆に興奮電位が電極から遠ざかるように動くと、波形は小さく(または下向き)に描かれます。

例えばⅡ誘導では波形が大きく描かれ、aVR誘導では波形が小さく描かれるのはこの為です。
 
 

心筋虚血と障害電流

心筋は3つの層になっていて、内部の方から、心内膜→心筋→心外膜とうい構成になっています。

この心外膜の外に心膜腔があります。

冠動脈の狭窄などで心筋への血流が阻害されると、心筋は内部の方からダメージを受けます。

そしてダメージを受けた心筋からは、炎症による障害電流が発生します。
 
 

ST低下のしくみ

1)冠動脈に狭窄が生じ、心筋への血液供給量が低下する。

2)心筋のダメージは心内膜側から起こる

3)ダメージを受けている心内膜側から障害電流が発生し、正常心筋の方向に向かう

4)ダメージを受けている心筋では、静止膜電位が-90mVから少しだけ大きくなり、心電図は障害電流により基線ごと上昇する

5)脱分極(興奮)した時は心電図上すべての電位が等しくなるのでST部分が低下する(ように見える)

 
 

ST上昇のしくみ

心筋へのダメージが慢性化し心筋梗塞となった時、STは上昇します。

STの上昇は、STの低下の全く逆の仕組みです。
 
1)冠動脈の狭窄が高度となり、心筋への血液供給の低下が慢性化すると、その部分の心筋全体(心内膜・心筋・心外膜)がダメージを受ける

2)障害電流は電極から遠ざかる様に流れる

3)静止膜電位は-90mVから小さくなり、遠ざかる障害電流により心電図は基線ごと低下する

4)脱分極(興奮)した時は心電図上すべての電位が等しくなるのでST部分は上昇する(ように見える)

 
 

心電図と電極

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心電図の変化は電極に向かうか遠ざかるか、そしてその電位が大きいか小さいかで決まります。

心電図から患者さんの状態を正しく把握するためには、電極を正確に貼る事が大切です。

胸骨や肋骨の真上に貼ってしまうと、骨が邪魔をして小さな波形になってしまいます。
 
 


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