人工呼吸器による呼吸サポートを継続し、患者の呼吸状態が回復していくとウィーニングをしていかなければなりません。
しかし人工呼吸器のウィーニングは慎重に行わなければ、かえって呼吸状態・全身状態が悪化し、入院期間が長引いてしまいます。
ここでは人工呼吸器のウィーニングの基準や注意点などをまとめています。
目次
ウィーニングとは
Wikipediaによるとウィーニングとは、
「離乳、乳離れ、離脱(人工呼吸器、補助循環装置などの人工的治療からの離脱)」とあります。
人工呼吸器を主体に考えると、人工呼吸による呼吸補助を少しずつ低下させ、患者の自発呼吸へ切り替えていく過程を言います。
ウィーニングの条件
どの教科書にも記載されているウィーニングの条件は次の通りです。
・原疾患が改善していること
・血ガス、酸素化能、換気量に問題がないこと
・全身状態が安定していること
・自発呼吸を行うことによる原疾患の悪化がないこと
ウィーニングの注意点
患者の呼吸状態により調節呼吸からSIMVへの移行やPSVの吸気圧の変更など、ウィーニング時には人工呼吸器の設定変更が頻回に行われます。
これらの設定変更により、換気量や血ガスの値がどう変わってくるをこまめにチェックする必要があります。
呼吸状態だけでなく、循環にも注目しなければなりません。
心拍数増加、不整脈、異常発汗など交感神経刺激症状がみられた場合は以前の設定に戻したり、ウィーニングそのものを延期することがあります。
鎮静レベルも浅く変更されます。
これはより自発呼吸に近い呼吸モードとするためです。
鎮静が浅くなることでファイティングを生じやすくなるほか、不穏・興奮状態になりやすく、気管チューブやその他のライン類を自己抜去する危険があるので注意しましょう。
ウィーニングの中止基準
以下の項目が当てはまると、人工呼吸器からのウィーニングは難しいです。
無理に行うと再挿管となる可能性が高いので、中止して下さい。
・呼吸状態の悪化
・血液ガスの悪化全身状態の悪化
よく見られるウィーニングの失敗例
・抜管後、頻呼吸(30回/min以上)となり、1回換気量が減ってきた
・頻脈(120回/min以上)となり、PVCが出現しだした
・冷や汗をかいてきた
・体動が激しくなり、チューブを引っ張るなど、不穏状態が強くなった
・気管内分泌物が多く、十分な咳反射がないため、頻回に吸引が必要となった
これらの症状が見られた場合は、患者の呼吸状態がウィーニングによる設定変更についていけてない事を表しています。
ウィーニング時には患者さんの状態をしっかり観察しましょう。
設定変更後、しばらくは安定している場合でも30分〜1時間後は要注意です。
変更された呼吸機の設定や輸液速度の設定など確認する項目は多いですが、最初に確認しなければならないのは機械ではなく患者さんの状態である事をお忘れなく。
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