人工心肺には心機能を代行するためのポンプがありますが、そのポンプには大きく分けて2つの選択肢があります。
その選択は病院によって様々だと思いますが、違いを理解しておくことは重要です。
目次
ローラーポンプ
長所
・ポンプの構造が単純なので故障が少なく、修理も簡単
・血液流量はポンプの回転数とポンプの内径、チューブの内径の内径から簡単に計算できるので、流量センサーは不要
・プライミングはローラーポンプチューブを満たすだけなので素早く確実
短所
・オクルージョンの調節が必要
・長時間の体外循環でチューブが摩耗する
・オクルージョンが強すぎると赤血球の溶血を引き起こし、弱すぎると逆流の原因になる
遠心ポンプ
長所
・オクルージョンの調整が不要
・ポンプをしごかないので溶血が少ない
・脱血に過度の陰圧を発生しないのでマイクロバブルの発生が少ない
・空気は軽いので、万が一の場合にも遠心力により空気は送られにくい
短所
・後負荷の影響を受けやすく、血圧により血液流量が変化する
・血液の温度やヘマトクリット値による粘性の変化によってポンプの特性が異なる
・流量センサーが必要
どちらも定常流ポンプである
上記に示したポンプは長所短所というよりはそれぞれのポンプの特徴といった方が適切かも知れません。
さらに忘れてはならないことはどちらのポンプも定常流ポンプであるということです。
より生理的な送血は拍動流ですので、体外循環が長時間になるほど末梢循環不全、毛細血管のうっ血等を招く恐れがあります。
しかし現時点でのローラーポンプまたは遠心ポンプを用いた体外循環症例は十分満足のいく成績を収めていると言えます。
またそれぞれのポンプを特殊な使用法を用いて拍動流を作りだす研究も行われていますので、今後より生理的な体外循環が可能になることに期待がもてます。
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