人工呼吸器は目的と方法をしっかり理解して管理にあたらなければ、
患者さんの自然の呼吸状態より状況を悪化させてしまいます。
ここでは人工呼吸器を勉強しはじめたばかりの人向けに、
人工呼吸器の基礎、目的と方法についてまとめています。
人工呼吸器に慣れ親しんでいる方も復習のつもりで読んでもらえたらと思います。
目次
人工呼吸器とは
人工呼吸器は患者さんの呼吸をサポートする医療機器です。
集中治療領域において最も扱う機会の多い生命維持管理装置と言っても過言ではありません。
それだけに集中治療室で勤務する医療スタッフにはよく理解してほしいと思います。
余談ですが人工呼吸器の値段は500万円から1000万円程するものもあります。
人工呼吸器の目的
人工呼吸器の目的は大きく分けて4つです。
①必要な肺胞換気量を維持し、PaO2およびPaCO2を改善させる
②換気仕事量(呼吸仕事量)を軽減し、酸素やエネルギーの消費量を少なくする
③肺機能の改善、少なくとも肺機能の低下を防ぐ
④全身管理の一環として呼吸不全を含む全身状態の悪循環を遮断し、原疾患や炎症の増悪を防ぐ
人工呼吸器の方法
気道内陽圧法
これがいわゆる「陽圧式人工呼吸法」です。
現在人工呼吸器で使用されるほとんどがこの方式が用いられていますね。
換気不足や肺胞の拡張が傷害されている肺の換気の改善、
また陽圧換気により虚脱した(潰れた)肺胞の再拡張を促し、酸素化の改善を図ります。
気管内挿管や気管切開を行っている場合では気管内分泌物の吸引排除も可能であるため、
重症の呼吸不全に対して有効です。
一方でマスクによる方法は「非侵襲的人工呼吸法」と呼ばれ、
回路にリークのある状態で陽圧換気が可能な方法です。
胸郭外人工呼吸法
これは「鉄の肺」を用いて胸郭外から陰圧をかけることで、胸腔内圧を陰圧に傾け、
肺を拡張させる方式です。
気管内挿管が必要ではなく、最も生理的な呼吸に近い方法です。
気管内挿が不要なので、会話や食事も可能です。
しかし気管内分泌物の吸引除去や虚脱した肺胞の再拡張は期待できません。
なので重症呼吸不全には適応がなく、呼吸中枢障害、脊髄損傷、重症筋無力症など、
肺実質の障害がない患者が適応とされます。
↓↓↓鉄の肺 解説
振動法
肺に振動を加える方法は「高頻度振動換気」と呼ばれ、主に新生児の人工呼吸に用いられます。
死腔量よりも少ない一回換気量で約2000回ほどの呼吸数を換気させます。
気道内圧を低く保ち、気道が開放された状態でも換気が可能なので、
気道のクリーニング効果(喀痰排泄効果)もみられます。
オススメの教科書
新人ナース・研修医・臨床工学技士にとってオススメの教科書を紹介しておきます。
古川 力丸先生の人工呼吸の教科書はとてもわかり易くて、オススメです。
何年か前に古川先生の人工呼吸セミナーに参加してきましたが、講演もとても
分かりやすく、いろんなことが一気に理解できたのを覚えています。
入門書を探している方には是非手にとってほしいです(^o^)
本当にオススメですよ!
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