人工呼吸器の基本構造と保守について解説

人工呼吸器の構造

呼吸療法認定試験で「人工呼吸器の基本構造と保守」の項目では人工呼吸器の内部構造についての問題が出題されます。

この項目の問題は人工呼吸器に触れる機会が多い方にとってもとっつきにくい項目だと思います。

なぜなら聞き慣れない単語であったり、機械の内部で目に見えない部分の項目だからです。

そこでここでは「人工呼吸器の基本構造」から聞き慣れない言葉やとっつきにくいと思われる箇所をピックアップしてなるべく分かりやすく解説します。

アウトレット

アウトレット,酸素配管
アウトレットとは病院の壁に取り付けられている医療ガス配管のことです。

酸素や空気を供給する大切な設備です。

人工呼吸器はアウトレットまたはボンベからガスを供給して使用します。
 
 
 
ここで関係無いようで関係のある豆知識を1つ紹介します。

家庭でも普通に壁についている電気を供給するための「電源」ってありますよね。

ほとんどの人は電源のことをコンセントと呼びます。

コンセントは[Consent]で承認、承諾、同意といった意味があります。

しかし大正時代に日本に伝わったコンセントの本当の由来は、[Concentric plug]だったそうです。

この言葉には集中させる、集結させるといった意味があります。

このConcentric plugが省略されて今のコンセントになったそうです。

つまりコンセントとはConcentであり、Consentではないのです。

アメリカでは電源のことはアウトレットと呼びます。

コンセントでは通じません。

ホースアセンブリ

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ホースアセンブリとは人工呼吸器と医療ガス供給器をつなぐホースのことです。

ホースの色で供給されてくるガスの種類が決められており、酸素のホースが緑色、圧縮空気のホースが黄色です。

アウトレット(医療ガス配管)にホースアセンブリを接続する際、間違えて接続してしまわない様に接続口の形状が異なっています。

例えば酸素のアウトレットに圧縮空気のホースアセンブリを接続する事はできません。

電磁弁

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電磁弁は人工呼吸器の内部にある構造なので外から見る事はできませんが、とても重要な役割を担っています。

人工呼吸器にはモードの他にも様々な設定項目があります。

主なもので酸素濃度、換気量、吸気流量、吸気波形、換気回数など挙げられます。

これらは各患者さんの状態に応じてすごく細かく微調整しなければなりません。

この「すごく細かく微調整」するのに適しているのが電磁弁なのです。

電磁弁は電流で磁場を作って弁口面積を制御しています。

調整の制御が電気的に可能なので、すごく細かい微調整が可能です。

ウォータートラップ

 
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人工呼吸器の吸気側は適度に加温加湿されていますが、回路と外気の温度差で回路内に結露が発生してしまいます。

これは回路内と外気の温度差による為です。

回路内に発生した結露を除去するための装置がウォータートラップです。

ウォータートラップに溜まった水は、ウォータートラップごと一時的に回路から取り外して捨てます。

この時、ウォータートラップの出入り口には弁が付いているため患者さんの吸気が漏れることはありません。

最近の人工呼吸器の回路(蛇管)は、回路をヒートワイヤーと呼ばれる熱線で覆っているタイプが主流となっています。

回路を外から暖めることで結露の発生が圧倒的に少なくなりました。

なのでヒートワイヤー入りの回路にはウォータートラップが付いていません。
 
 


2 件のコメント

  • yoshida より:

    >最近の人工呼吸器の回路(蛇管)は、回路をヒートワイヤーと呼ばれる熱線で覆っているタイプが主流となっています。

    実際、流通している人工呼吸器回路においてヒートワイヤー付きのタイプと従来のウォータートラップ付きタイプとの比率はどれぐらいのものなのでしょうか?

    • 岡井さん より:

      コメントありがとうございます!
      流通している比率を明言することは出来ませんが、現在ではほとんどがヒーターワイヤー付きのタイプになっていると思われます。

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