心電図を読める様になりたい!と思っている人は多いと思います。
前回の投稿で心電図を勉強するコツは、勤務場所に分けて必要な知識を身につけることと説明しました。
今回は特に虚血の患者さんを扱う循環器系一般病棟・CCU・カテ室勤務の人向けに実際に私がやっている心電図を読むコツとⅡ,Ⅲ,aVF誘導に注目する意味を教えます。
目次
まずはⅡ・Ⅲ・aVF誘導に注目すること
心電図を読むコツとして、標準12誘導をとったならまずはⅡ・Ⅲ・aVF誘導に注目します。
なぜならⅡ・Ⅲ・aVF誘導は、12個の誘導の中でもハッキリとしていて分かりやすいからです。
これらの誘導は心臓の電気の流れる向きを正面に近い角度から見ている事が関係しています。
心電図で何から見たらいいのか分からないという人は、とにかく見た目が分かりやすい誘導に注目してみましょう。
Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導のST変化に注目する
次にⅡ・Ⅲ・aVF誘導のST変化に注目します。
そして上昇しているか、下降しているかを判断します。
難しく考える必要はありません。
見た目で基線よりもSTが1mmでも高ければST上昇、低ければST下降です。
Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導でSTが上昇していれば下壁の梗塞を疑う
慣れてくるまでは、Ⅰ誘導やaVL誘導・胸部誘導(V1〜V6)などはとりあえず無視します。
波形が分かりやすいⅡ・Ⅲ・aVF誘導を見て、STが上昇していれば急性下壁梗塞の所見となります。
左心室下壁の虚血と言うと責任となる冠動脈は右冠動脈なので、右冠動脈の狭窄を疑います。
STが変化する仕組みについては冠動脈の狭窄と心電図ST変化の仕組み
を参考にしてみて下さい。
急性期ではSTは下降よりも上昇を優位に考えること
それでは先程と反対に、Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導でSTが下降していたらどうでしょう?
この時Ⅰ・aVL誘導を見ると、STは上昇していることが多いです。
12誘導心電図をみた時、誘導によってSTが上昇しているものもあれば、下降しているものもあり、これが心電図を分かりにくいものにしていると思います。
ここで覚えておきたいのが「12誘導でSTの上昇と下降を同時に認める場合は、上昇を優位にとる」ということです。
STは低下よりも上昇のほうが貫壁性梗塞といって、リスクが高いからですね。
正直な話、心電図にSTの上昇と低下が同時に認められる場合、どっちを信用していいのか判断に迷う事はたびたびあります。
ですがⅡ・Ⅲ・aVF誘導でSTが下降していて、Ⅰ・aVL誘導でSTが上昇している場合は、とりあえずはリスクの高い、Ⅰ・aVL誘導のST上昇の方を信じればOKです。
ちなみにこの様な場合のⅡ・Ⅲ・aVF誘導のSTの下降は鏡像現象(ミラーイメージ)の為です。
これは心電図電極が、心臓をみている向きが反対にあるために起こる現象です。
ちなみにⅠ・aVL・V5・V6誘導のSTの上昇は急性側壁梗塞の所見となります。
責任となる冠動脈は左冠動脈の回旋枝です。
Ⅰ・aVL・V1〜V4誘導でSTが上昇しているのであれば、急性前壁梗塞の疑いがあります。
まとめ
・急性期の虚血性心疾患の心電図を読むコツは、まずはⅡ・Ⅲ・aVF誘導に注目すること
・Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導でSTが上昇していれば急性下壁梗塞の疑い
・Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導でSTが下降し、Ⅰ・aVL誘導でSTが上昇しているなら
Ⅰ・aVL誘導のST上昇を疑い、Ⅱ・Ⅲ・aVFは鏡像と判断する
・Ⅰ・aVL・V5・V6誘導でSTが上昇していれば急性側壁梗塞の疑い
・Ⅰ・aVL・V1〜V4誘導でSTが上昇していれば急性前壁梗塞の疑い
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