血漿交換を行う際、全血から濾過する血漿流量と置換液流量は同じであり、その流量は血液流量に対して30%が基準となっています。
なぜ30%なのか?もっと血漿流量を上げれば、施行時間を短縮出来るのに。
と思って調べてみると、その理由がわかりましたので、シェアしたいと思います。
どうして30%なのか?
結論から言うと、膜の目詰まりと溶血のリスクを回避する事に関係していることが分かりました。
例を上げて考えてみます。
Ht値30%の患者さんに血液流量100mL/minでPEを行う際、膜の入口に流入する成分の内分けは、血球成分流量30mL/min、血漿成分流量70mL/minとなります。
血漿成分流量70mL/min×0.4(安全係数)=約28mL/min
よって、血液流量に対して30%に近い血漿流量となりました。
また、膜の出口から流出する血液流量は70mL/minですが、この出口血液のHt値は、30/70×100=42%となります。
この時のHt値が高いと膜の目詰まり・溶血の恐れがあります。(しかしあくまで膜特性に依存)
血漿流量を上げていくと血液と膜の間に濃い成分の層が出来ます。
これを濃度分極層といいます。
さらに血漿分離抵抗が増大し、膜によっては目詰まりを起こしたり、溶血を起こすと報告されています。
安全に治療が行える血漿流量が30%以下であるとの事でした。
メーカーもその様に推奨している様です。
実際の経験談として、血漿流量を血液流量の40%に設定したところ、溶血の影響なのかは不明ですがACTがかなり伸びました。
(目視で確認できる溶血はありませんでしたが。)
またTMPの値を監視するのもポイント。
TMPを観察し、これ以上あげると溶血してしまう値を探りましょう。
とりあえずとしてはTMP 50mmHg以下を保てておけば問題なしです。
血液流量を上げたら血漿流量も上げていいのか?
計算上では、血液流量を上げてやれば血漿流量も上げても膜出口のHt値はキープできます。
しかし、血液流量は血圧、脱血状態などによって調節する事が基本です。
遅すぎると治療時間の延長・膜の凝固、早すぎると血圧変動・脱血不良・溶血などの弊害が起こるので注意が必要です。
↓ 参考にした教科書
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