みなさんこんにちは、医療に興味のある臨床工学技士岡井です。
ヘパリン加生食を調合する時、例えば5000Uや5000Üと記入することがあると思うのですが、「U」や「Ü」に何の意味があるか知っていますか?
今回これらの表記の仕方について少し気になってしまったので調べてみることにしました。
目次
調査のきっかけ
前回の投稿で単位を表す「Ü」の表記がスタバみたいだと話題になりました。
前回は、容器に直接油性ペンで記入をしてもいいのか?
という疑問に焦点を当てて考えてみましたが、これについては自分自身で納得できました。
次に「なぜUの頭に¨(チョンチョン)をつけるのか?」という疑問が浮かんだので、また悪い癖ですがどーでもよさそうな事を深掘りしてみる事となりました。
<前回の投稿>
よその施設ではどう表記している?
今回この問題を解決するべくTwitterとInstagramでアンケートを実施しまして、
総投票数は1611票、【U派 56%】、【Ü派 44%】という結果でした!
みなさんご協力ありがとうございました!\(^o^)/
もっと偏るかと思ったんですが、意外に半々くらいでしたね。
つまり各々の施設で違いはあれど、恐らく医療業界全体としては
「絶対にこう表記しなければならない!」
と、そこまで厳格に決められている事柄ではない様です。
ちなみにですが、UやÜ以外にも「5000E」や「5000IU」と表記している施設の方も数名おられました。
Uの意味
ヘパリンを数える時はmLやmgではなく、「何単位」と数える事が通例です。
(ヘパリン50単位/kgやヘパリン1000単位/hなど)
結論から言うとUはUnit(単位という意味)を表しています。
つまり、ヘパリン5000単位=ヘパリン5000Uとなるわけですね。
Üの意味
ではÜの頭の¨(チョンチョン)は何を意味しているのでしょう?
Wikipediaによると、この¨(チョンチョン)は【ウムラウト】と読む様です。
主にドイツ語やスウエーデン語などで母音(a,o,u)を発音する場合に用いられる事がある記号ですが、毎回必ず使うと言うわけではない様です。
医療界では、カルテ(Karte)などの様にドイツ語が多用されますよね。
これと同様に、ドイツ語のÜnitの頭文字をとって、ヘパリン5000Üと表記する派の方が半分くらいおられるんですね。
「単位」をドイツ語で「Ünit」は間違い!?
念の為にGoogle翻訳で「単位」をドイツ語に訳してみると、驚愕の事実です。
「単位」はドイツ語でEinheitと訳す様です。
じゃあ一体「Ü」とはどこからやって来たのか?
ドイツ語に詳しい人に聞いたところ、Einheitsの一部とも言える「単元」という意味ではUnit使う事もあるそうです。
ですが一般的にはÜnitとは表記せず、通常のUを使うのだそうです。
(ますます謎は深まるばかり)
ドイツ語で書かれた教科書を探し出して眺めてみたんですが、僕が読んでみた限り確かにÜnitなんて言葉は見つからなかったです。
(ドイツ語の医学教科書探すの苦労しました...。)
なぜÜと表記する様になったのか考察
手書きだと「U」や「IU」をそれぞれ「O」や「10」と見誤る可能性がありますよね。
仮に5000Uを5000Oと見誤ってしまった場合、指示の10倍量の間違いとなってしまいます。
これらのエラー防止対策として、施設によっては¨(ウムラウト)を付ける習慣となり、それがいつしか「単位」はドイツ語で「Ünit」だと変換されて浸透していったものだと考えられます。
いやー納得納得。(^o^)
でもÜnitは厳密に言うと正しい表現ではない様なので、書くなら日本語で「5000単位」やEinheitの頭文字を使って「5000E」とかの方が正しい気がします。
が、あんまりツッコムと、「細かすぎ」とか「現場を混乱させるな」とか言われちゃいそうなので、職場ではあまり大きな声では言わないようにします。
要するに事故が起きなければそれが一番なので、みなさんも今の職場のやり方で結構です。
しかし本来の言葉の意味や正しい使い方は知っておくと、もしもの場面で恥をかかないかも知れません。
「いつもそうやっているから」とか「初めに先輩にそう教えられたから」とかは考える事を放棄していますし、それはある意味とても損をしていると思います。
いつもルーチンでやっている事にも疑問を持って調べてみると、新しい発見があったりするかも知れませんよ(^o^)
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