先日、緊急カテのオンコールがありました。
カテ室での臨床工学技士の業務といえばPCIでのIVUSの操作がありますね。
ただ操作するだけでなく、IVUSの原理をキチンと理解できているか…? と、自問自答したところ忘れてしまっていたので、今回自身の復習を兼ねての投稿です。
目次
IVUSとは
IVUS(アイバス)Intra Vascular Ultra Soundの頭文字をとったもの。
直訳すると血管内超音波といいます。
カテーテルの先端部分から超音波パルスを送出し、血管内の様子をリアルタイムで観察することの出来るイメージングモダリティです。
現在IVUSには、電子走査(フェーズドアレイ)式と機械走査(メカニカル)式があります。
電子走査式と機械走査式の違い
電子走査式はカテーテルの先端部分の表面全周にトランスデューサが合計64個貼られ、その1つ1つが超音波パルスを発振します。
走査が簡便である反面、周波数が低いため画像の分解能が低いといった欠点があります。
機械走査式に比べてカテーテルが太く、狭窄病変を通過しない為、使用できない症例もあるので注意が必要です。
機械走査式はカテーテル先端部分に組み込まれた1つのトランスデューサが超音波パルスを発振しながら360°回転します。
構造上カテーテルが細く、高周波のトランスデューサを使用することが可能です。
しかし、屈曲病変では回転ムラ(NURD:ナード)が起きる可能性やエアーフラッシュの必要があります。
IVUSの原理
IVUSの原理は、まずカテーテル先端部分から約40MHzの超音波パルスを出します。
送出された超音波は血管壁などの生体組織にぶつかり、受信状態のトランスデューサに跳ね返ってきます。
この跳ね返ってきた反射超音波パルスを画像としてモニターに表示します。
画像は水を基準とした音響インピーダンスの差により作り出されます。
線維性プラークの様な音響インピーダンス差の小さなものは鮮明に映し出されます。
対して、石灰化など音響インピーダンス差の大きなものは境界面で反射され、後方が影となって映し出されます。
また脂質性プラークの様な音響インピーダンスの低いものは吸収されてしまいます。
超音波は周波数が高いほど分解能が高く、深達距離が短くなるといった特徴があります。
つまり、IVUSの周波数が高いほど画像はきれいに見えますが、遠くは見えないワケです。
現在市販されているIVUSの周波数は20MHz〜60MHzであり、深達距離は3〜8mm程度です。分解能は周波数40MHzで0.04mmです。
臨床で意外に大切なこと
各社から出されているIVUSを医師に提供する場合に覚えておかなければならないことは、トランスデューサの位置とカテの太さだと思っています。
医師や我々スタッフは透視上ではカテ先の不透過マーカーでIVUSの位置を確認しますが、実際にトランスデューサがある位置は、不透過マーカーから数mm手前となります。
例えばテルモ社製View ITはトランスデューサの位置は先端から30mm、不透過マーカーからは23mmの所に位置しています。
透視上で狭窄部をしっかり通過した位置からIVUSをスタート出来るように、トランスデューサの位置を覚えておきましょう。
またIVUSカテの太さも、分岐部病変などでワイヤーを複数本使用する場合などにおいて重要です。
ガイディングカテの中にIVUS用ガイドワイヤー、IVUSカテ、さらに側枝ガイドワイヤーまで入れて操作する為には、ガイディングカテ自体が十分に太いサイズの物を使用しているか、細いIVUSカテを使用する必要があります。
テルモ社製View ITはシャフトでは2.6Fr、手元の部分では3.2Frです。
PCIで使用するガイドワイヤーはおよそ1Frなので、2本使って合計すると3.2+1+1=5.2Frとなります。
ガイディングカテが6Frの場合、これ以上のワイヤーは追加できません。
このように使用しているデバイスを把握し、追加のワイヤーが通るかどうか、常に考えながら動くこともMEの大事な役目だと思います。
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