吸入療法はICUや一般病棟ではもちろん、在宅でも使用することもある治療法です。
ネブライザーや定量吸入器といった器具を使ってエアゾルを発生させます。
吸入療法は呼吸療法認定試験にも出題されるので、参考にしてみてください。
これも暗記ものになりますので、アステッキのeラーニングテキストを参考にイラストでイメージを付けましょう。
目次
吸入療法とは
吸入療法は気管支喘息やCOPDの患者に対し、気管支拡張薬液をエアゾル(霧状になったもの)にし、吸入させることで症状の改善を図る治療法です。
気道や気管支にダイレクトに薬を送り込むことが出来るので、全身投与法に比べて少ない投与量で効果が期待できます。
また副作用が少ないのも特徴です。
吸引するエアゾルの径は1〜5μmが良いとされています。
粒子径が大きいと口腔内や喉頭までしか届かず、粒子径が小さいと肺胞まで飛んでいってしまいます。
薬剤を沈着させたいターゲットである気道や気管支へうまく届ける為の大きさが1〜5μmなのです。
ネブライザーと定量吸入器の違い
ネブライザーは主にジェット式、超音波式、メッシュ式があります。
装置が大型のものはだいたいネブライザーです。
吸気とタイミングを合わせる必要がなく、確実に吸入できるのが特徴です。
そのため小児に対して使いやすいでしょう。
ただし大型で高価、薬の種類が限定されるといったデメリットもあります。
対して定量吸入器は軽量・小型であり携帯性に優れます。
吸気とタイミングを合わせる必要がありますが、スペーサーと呼ばれる器具を併用すれば同期は不要です。
定量吸入器は基本的に電源が不要なので、患者自身が喘息発作時に自己コントロールのために使用します。
①ジェットネブライザー
「ベルヌーイの原理」という方法を利用したネブライザー。
簡単に言うと、薬液を吸い込んだ紙に勢いよくジャット気流ぶつけることで霧を発生させるネブライザーです。
発生する霧は粒子サイズが1〜5μmと最適であり、
ジェット気流が勢いよく飛んでくるので、喘息発作に陥り呼吸を同調させることが困難な患者や小児に対して有効です。
②超音波ネブライザー
超音波振動子を使って霧を発生させるネブライザー。
構造はよくあるオシャレな超音波加湿器と同じです。
霧の発生量は多いですが、エアゾルの粒子サイズは1μmと小さめです。
小さいため、気管支よりもさらに先の肺胞まで到達してしまいます。
さらに超音波振動により薬の成分が壊れてしまうため、正直な話あまり推奨されていません。
欠点が利点よりも多いんですね。
③メッシュ式ネブライザー
ホーン振動子とよばれる超音波とは異なる振動子がメッシュを通過することで霧を発生させる。
エアゾルの粒子径は約5μmで最適です。
振動子の構造が超音波式よりも簡単なので、小型です。
小型なので小児や座位がとれない患者に対して使用しやすい。
④定量噴霧式吸入器(MDI)
高圧に充満されたフロンガスを噴射します。
フロンガスは噴射されると急激に気化します。
その原理を用いてエアゾルを発生させます。
フロンガスはオゾン層を破壊し、地球温暖化を促進するので2005年に廃絶されました。
しかし呼吸療法認定士としてはこういう装置もあったんだという知識を持っておかなければなりません。
MDIは①懸濁タイプと②溶液タイプに分けられます。
①懸濁タイプ
そもそも「懸濁」とは、固体粒子が液体中に分散した状態の事を言います。
懸濁タイプのMDIは、容器に入った液体をよく振って懸濁させ、噴射時にガスの気化と同時に薬物粒子がエアゾル化するといった仕組みです。
粒子径は3.1μmとされています。
②溶液タイプ
溶液タイプは容器の中に薬液と共にエタノールが含まれているので、使用前に吸入液を振る必要はありません。
粒子径は1.1μmと超微粒子です。
⑤ドライパウダー式吸入器
最近で使用されているネブライザーはほとんどがこのタイプです。
その名の通り粉状の薬を吸入するため、呼吸を同期させる必要がありません。
またMDIの様にフロンガスを使用しないので地球にも優しいです。
粒子径は3〜4μmです。
スペーサーとは
スペーサーはMDI定量吸入器を使用する時に、うまく吸い込めるようにする筒状の補助器具です。
MDIは吸入の際に噴射と吸気のタイミングを合わせなければ、薬は口腔内でキャッチされてしまい効率が落ちてしまいます。
しかしスペーサーを使用すれば吸気に同期させなくても、薬をうまく気管支まで送り届けることが出来ます。
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