【進路に悩む受験生へ】臨床工学技士という仕事について質問にお答えします!

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先日、進路に悩んでいる高校3年生の方からメッセージをいただきました。

臨床工学技士養成校への受験を控えているそうですが、臨床工学技士について調べていく内にネガティブな情報が多く目に入り、本当にこのまま臨床工学技士を目指すべきかどうか不安に感じているそうです。

進路のことを考え不安になることは、それだけ将来について真剣に調べている証拠だと思います。

その方の質問には各々私の考えを回答として返信しましたが、将来のことで悩んでいる高校生の方はまだまだ大勢いると思います。

今回受けた質問と回答をQ&A方式で、ここに残しておこうと思います。

目次

Q:臨床工学技士は仕事の幅が狭く、雑用になりがちですか?

A:いいえ、臨床工学技士の仕事の幅が狭いというのは間違った認識ですね。

確かに透析クリニックなどに就職した場合は、業務の多くは透析に関することがほとんどだと思います。

しかし、総合病院などに就職した場合は、かなり幅広く業務を行なっていかなければなりません。
 
 
いくつか例を挙げると、透析室では透析に関わる業務をこなし、ME機器管理室では院内のいたる所で使用されてるME機器の管理やトラブル対応、修理などを行います。

手術室では各診療科が所有しているさまざまな大型医療機器(例:麻酔科の麻酔器、消化器外科の内視鏡、泌尿器科のレーザー、眼科のマイクロ顕微鏡、脳血管外科のナビゲーターシステム、心臓血管外科の人工心肺装置、など)の準備や操作を医師の指示の元に行い、急変時には心臓の機能をサポートする機械(補助循環装置)の導入もこなします。

集中治療室では人工呼吸器やその他ICU内の大〜小まである様々な機器の管理を行いつつも、透析が必要な患者さんがいれば透析を行い、循環補助が必要な患者さんが来れば補助循環装置の準備を行っています。
 
 
はじめに透析クリニックに就職した場合は業務のほとんどは透析に関することと言いましたが、透析に関わる業務と言っても機械の準備や管理だけではありません。

実際にはあらゆるデータから患者さんの体調を観察し、どういった治療プランを立てていくのか医師などとカンファレンスを行います。

他にも、透析には高度に管理された水を大量に使用するので水質やそれを維持する為の機械の管理も必要となってきます。

この様に、透析1つをとっても臨床工学技士の業務の幅は多岐に渡ります。
 
 
雑用に関して、確かに雑用と呼ばれる様な仕事も時には受けることもあります。しかし社会に出ればどんな仕事に就いたとしてもある程度の雑用はあって当然だと思いますよ。

雑用をやらない、もしくはテキトーに済ます様な人は社会では通用しません。
 
 

Q:患者の命の責任を負う前提で人工心肺などを操作することが怖いのですが。

A:人工心肺に関わらず、患者さんに対して現場で行う医療行為には全て命の責任があります。

高校生の方にとっては、命の責任の重さをデメリットと捉えてしまっても無理ないかと思います。

しかし私は責任のある仕事だと誇りを持って、前向きに日々業務を行なっています。
 
 
確かに患者さんを死なせてしまうかもしれない、そんな不安はいつも抱いています。

しかし、現場にはそうならない為に様々な確認事項や安全装置や配備されています。

またトラブルや患者の容体の急変時にも対処できる様に学校や現場でしっかり勉強をし、備えています。
 
 
現在の医療はチーム医療が主流です。

命という責任を自分一人で抱え込まず、チームで共有し全員で背負っていると考えると少しは緊張がほぐれるでしょうか。
 
 

Q:コロナワクチンの接種担当に回される可能性があるのですか?

A:コロナワクチン接種の担当に臨床工学技士が含まれていくかどうかは、各々の施設の方針次第です。

私の務める病院では恐らく臨床工学技士は担当にならないでしょう。

理由は前述した通り臨床工学技士の日常業務の幅が多岐に渡り、そこまでする余裕も人材も足りていないからです。

仮になったとしても、私なら筋肉注射をさせてもらえる良い経験だとプラスに考えます。

臨床工学技士は透析業務をするとき内シャントと呼ばれる血管への穿刺(注射)を行いますが、その時の応用を学べるかも知れません。
 
 
感染症に対する業務では自分が感染してしまうかも知れないことへの恐怖もあるでしょうが、医療機関では万全の感染症対策を行なっていますので、業務中に感染してしまう可能性は限りなく低いです。

むしろ屋外で感染しているかどうかも分からない人たちと適当な感染対策で接点を持つことの方がはるかにリスクだと考えています。
 
 

Q:上記の疑問点から、臨床工学技士という仕事が自分のやりたいことなのか分かりません。

A:質問者様の将来どのような業務に携わりたいのかは分かりませんが、質問内容から幅広く業務をこなしていきたいのだなと想像します。

繰り返しになりますが、臨床工学技士の業務の幅は広く、内容は多岐に渡ります。

そして今後さらに増えてくるでしょう。
 
 
正直なところ、私自身も今の仕事が本当に自分のやりたい仕事なのか分からなくなることはあります。

ですが、どんな仕事だとしても結局は自分の働きが患者さんや病院の経営に還元されるのなら、すべてに全力で応えることが大切だと思っています。

それでも将来が不安なのであれば、多くある業務内容の中から自分に合ったものを早い段階から探していくのもいいかも知れませんね。

その為には様々な業務を行なっていて、自分のやりたいことができるかも知れない職場を探しておくと良いかと思います。
 
 

Q:臨床工学技士のやりがいや利点を教えて下さい。

A:私が思う臨床工学技士という仕事のやりがいは、やはり機械(工学の知識)を使って患者さんの状態を少しでも良くなる様に考え尽くせることだと感じます。

今の医療機器はどんどん進化していて、今までなかった最新の機能などもつく様になりました。

機械というのは正直で、こうと設定した通りにしか動きません。

その時の患者さんの状態を考えて、「機械をこう動かせば、こうなって、こう良くなる」と言う論理的思考に基づき実行し、それで患者さんに少しでもラクになってもらえれば、「いい仕事ができたかも知れないな」実感することができます。
 
 
また臨床工学技士は病院において医師・看護師や他職種からかなり頼りにされる存在です。

例えばある病気に対する新しい手術法が開発されたとします。

最近開発されている手術では例外なく機械補助を必要とします。

この機械の操作を任せたい、と医師等からどんどん依頼が来ます。

必要とされているという環境は日々の業務にモチベーションを与えてくれます。

この様な事ですが、わたしは臨床工学技士とは素晴らしい仕事だなと考えています。
 
 

最後に

以上が今回受けた質問と、現段階での私の考えになります。

このブログでは、臨床工学技士への就職・転職を考えている人向けに、臨床工学技士の仕事やお給料事情などについても紹介しています。

そちらの記事も参考にしてみてください。

 
 
この他にも進路を考える上で臨床工学技士について質問があれば、遠慮なく各種DMへご連絡下さい。

真摯に受け止め回答させていただきます。

岡井


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