【心カテ】シースって何?構造や種類を解説

集中治療室やカテ室・オペ室で働いている方は、一度はシースという物品の名前を聞いたことがあると思います。

シースはカテーテルを使った治療や検査で必ず必要になるものです。

ひと昔前まではそこまで種類も多くなかったのですが、使用者の需要に合わせて最近ではものすごい種類のシースが存在します。

今回は、シースの構造や種類についてまとめておきたいと思います。

目次

シースの概要と役割

シースとは、正式な名前をシースイントロデューサーと言い、心カテ手技をする上でなくてはならないものです。

シースの役割は、患者さんの体の外にあるカテーテルやワイヤー血管内へ誘導していくことです。

初めにシースを用いて患者さんの血管を確保しておくことで、その後の手技で別のカテーテルを挿入したり、入れ替えたりといった作業を簡便かつスムーズに行えるようになります。
 
 

シースの構造

シースはメインとなるストロー状のシースチューブ、逆流防止弁、三方活栓から構成されています。

シースの端の部分から別のカテーテルを挿入していくことで、体内に安全に持っていくことができます。

逆流防止弁がついてあるので血液が逆流してくることもありません。

また三方活栓がついてあるので、採血をしたり投薬を行うこともできます。
 
 

シースの種類

シースには種類がたくさんあって、太さや長さがそれぞれ異なります。

太さに関しては規格で決められている色分けがされているので分かり易いです。

4Frは赤、5Frは灰色、6Frは緑、7Frは橙、8Frは青色です。

※写真のメーカーのものは現在10Frまでのラインナップがあります。
 
 
カテーテルの太さは基本的にフレンチで言い表します。

最初の頃は戸惑うかも知れませんが、すぐに慣れるので大丈夫です。

ちなみに1Frが約0.33mmなので、4Frは約1.4mmとなります。
 
 
次に長さですが、一般的なシースのチューブの長さには 7cm、10cm、25cmのものがあります。

当院では小児や体格の小さい患者さんには7cmを使用し、成人症例では10cmを使用することが多いです。

これらはよくショートシースと呼ばれたりします。血管の蛇行が強い場合やガイドワイヤーが側枝の血管に迷入しやすい症例では25cmシースが選択される場合もあります。

ショートシースに対してこちらはロングシースと呼ばれたりします。
 

その他のシース

ちょっと変わった特殊なシースもあり、いくつか紹介しておきます。

グライドシース

グライドシースはチューブの部分を薄くして作られたシースです。

まず、シースというのは基本的になるべく細い方が患者さんにとっては低侵襲です。

しかしシースが細いと、使用する物品に制限ができてしまいます。
※例えば、5Frのシースには6Frのカテーテルは入らない。

グライドシースは血管挿入部分が通常よりも薄いため、5Frのシースを使う感覚で6Frのシステムを使うことが出来ます。

コイルシース

コイルシースはポリウレタン製のコイル構造で作られているシースです。

びよんびよんに曲がるので、血管の蛇行が強い患者さんにも使用することが出来ます。

「耐キンクシース」や「フレックスシース」などと呼ぶこともあります。

可変シース

可変シースは不整脈のカテーテルアブレーション術などで使われるシースです。

手元のハンドル操作でシース自体を曲げることが出来ます。

これにより、心腔内の目的の場所にカテーテルを誘導し易くなります。

ピールアウェイシース

ピールアウェイシースは、ペースメーカー植え込み術などで使われるシースです。

リード線を挿入した後で、裂けるチーズの様にシース自体を半分に割ることができ、リード線を留置したままシースを除去することが出来ます。


※ピールアウェイ(peel away)は、「むく」、「剥がす」という意味があります。


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