「死に直結する人工透析の中止」についてあなたはどう考えるか

「死に直結する人工透析の中止」についてあたなはどう考えるか

医師からの提示で人工透析を中止した腎臓病の女性が死亡しました。ニュースが注目される中、提案は医師からのものであったのか、中止のガイドラインから逸脱していたのか、など様々な点が論点として挙げられています。私は評論家でもコメンテーターでもありませんが、透析に関わるものとして、透析中止のガイドラインをしっかり理解しておかなければと思いました。これを期にみなさんも「透析の中止」について考えてみてください。


 
 

維持血液透析の現状

透析患者の平均年齢は約67歳であり年々高齢化が進んできています。全体として5.6%の患者が1日中就床しているとの報告があります。この様な背景からも透析治療は社会復帰を目指す救命治療から延命治療へという要素が強くなってきていることが伺えます。
 
 

維持透析と患者の負担

維持血液透析療法の目標は患者の生活および生命の質を向上させ、維持することです。しかし血液透析は循環動態に負荷を与える行為でもあり、重篤な心血管合併症例では、透析実施がかえって負担となります。たとえ循環動態が安定していても不均衡症候群、テタニー、倦怠感など、多くの合併症を発症する可能性があります。
 
維持血液透析自体は基本的には週3回の間欠的な治療であり、来院から帰宅までの時間を含めると、ほぼ半日という時間を治療に費やします。私達が考えている以上に患者は維持透析に負担を感じています。
 
 

透析患者が透析を行わなかったら

末期腎不全患者が透析を行わなければ、尿毒症のため死亡します。たとえ尿毒症としての症状の出現が現れにくくても、溢水による心不全、肺水腫、呼吸不全のためいずれは死亡すると考えられます。
 
 

透析中断のガイドライン

2007年5月21日に作成された「維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」より私が重要だと感じた部分を抜粋します。できれば日本透析医学会のHPから本文をしっかり読んで、医療スタッフとしての自分の意見を考えてみてください。
 
【自己決定の尊重】
・現時点で判断能力がなくなっていても、判断能力があった時期に本人が記した事前指示書が存在する時には、患者が希望した治療とケアの方針を尊重する.
・判断能力がある患者が維持血液透析を開始する際には、事前指示書を作成する権利があることを説明する.
 
 
【維持血液透析の見合わせを検討する状況】
・維持血液透析を安全に施行することが困難であり、患者の生命を著しく損なう危険性が高い場合.
・患者の全身状態が極めて不良であり、かつ「維持血液透析の見合わせ」に関して患者自身の意志が明示されている場合、または、家族が患者の意思を推定できる場合.
・医療チームが見合わせた維持血液透析は、状況に応じて開始/再開される.
 
 
【維持血液透析見合わせ後のケア計画】
・緩和ケアについて患者および家族へ説明し、発言すると予測される症状に対して実施する治療について事前に決定しておく.
 
 


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