IABPのバルーンサイズと選択方法について解説します

IABPのバルーンサイズと選択方法について解説します

急性冠症候群(ACS:Acute Coronary Syndrome)や開心術後の低拍出量症候群(LOS:Low Output Syndrome)などに対して導入されるIABP。成人用のサイズでは30cc〜40ccのものから選択される事が多いと思います。その選択は主に患者の身長を指標に選択しますが、実はそれだけではありません。今回はIABPのサイズ選びで本当に大事なことについて考えてみました。

基本的なバルーンサイズの選択方法

IABPのバルーンサイズは患者の身長によって選択します。なぜかと言うと身長と大動脈の長さには、ある程度の相関関係があるからです。基本的には各メーカー推奨のサイズで問題ありませんし、ほとんどのIABPキットの箱にも患者の身長から簡単にサイズを選択するように表示されています。
 
 

バルーンサイズが適切でないと…

患者の身長に対し、バルーンが大きすぎるとバルーンの末端部が腹部の辺りまで到達してしまいます。腹部大動脈は石灰化をきたしやすい部位なので、バルーンが接触することで血管壁の損傷・石灰部の剥離・バルーンパーフォレーションの原因になります。
またバルーンが大きいと腹腔動脈、腎動脈などの大事な血管をバルーンで塞いでしまう危険があります。バルーンは収縮と拡張を繰り返すので完全に血流を阻害するわけではないですが、少なからず灌流量は減少するはずという考えから、元々腎機能が悪い患者の場合は、さらなる増悪も考えられます。
 
逆に患者の身長に対し、バルーンが小さすぎるとどうなるでしょう。バルーンが小さいと、拡張したときの大動脈内に隙間が存在することになりますね。これではIABPの効果である冠血流量の増加や、左室の後負荷の軽減効率が落ちてしまいます。IABPの効果に関する説明はコチラ
 
 

サイズ選択で大事なことは容量よりもバルーン長とバルーン径である

IABPのサイズは上記の通り、容量(何mL)で表記されていることがほとんどです。しかし本当に大事なことは容量ではなくバルーン長とバルーン径であると覚えておいて下さい。身長によるサイズ選択が適切であっても、バルーン長が長く、腹部大動脈にまで達していると様々な合併症のリスクとなります。
また拡張時のバルーン径が合っていなくてもIABP効果の減少や血管壁損傷のリスクとなります。(ある程度はオーグメンテーション圧の設定で調節します。)
 
 

各社 各製品のサイズ表
IABPのバルーンサイズと選択方法について解説しますIABPのバルーンサイズと選択方法について解説します
 
※推奨
身長145cm以下・・・・20mLまたは25mL
身長145〜155cm・・・30mL
身長155〜165cm・・・35mL
身長165cm以上・・・・40mL
 
 
※日本人の一般的な成人の胸大動脈
胸大動脈の長さ・・・205〜220mm
胸大動脈直径・・・・30〜25mm
腹大動脈直径・・・・25〜20mm
 
 

最後に

しかし、胸部大動脈の長さや直径はあらかじめ分かっているケースは少ないです。やはりとりあえずは身長からメーカー推奨のサイズを選択し、その後の管理で適宜設定を調整していくしかないとも思います。オーグメンテーション圧や肝・腎機能、尿量などをモニタリングし、その時その時に合わせて対応するようにお願いします。
 
 

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