【写真付き】心電図にノイズが混入!原因と対策とは

 
病棟や集中治療室で仕事をしていると心電図をとる機会が多いと思います。

心電図を記録しようとした時、ノイズが混入してうまく記録できなかったという経験はありませんか?

その原因の多くは機械の故障ではなく、電極や環境の影響を受けている可能性があります。

心電図にノイズが入る原因と対策を解説します。

原因① 商用交流雑音

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これはいわゆる「ハム」と呼ばれるノイズです。

広い範囲の誘導にノイズが認められ、心電計の電源を差したコンセントから混入します。

3Pの電源コードである事を確認し、コンセントを奥までしっかりと差し込んでアースをとることで改善します。(アースにはノイズをコンセントの奥側へ逃がす役割があります)

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原因② 筋電位の混入

心電図をとる時、袖や服の裾をめくったり、胸部誘導をとる場合は脱衣を行いますが、患者さんの立場から考えるとこの状況はなかなか寒いものです。体が震えているとその筋肉の振動はそのまま筋電位となってノイズの様に見えてしまいます。
 
 
胸部誘導(V1〜V6まで)にはノイズはないのに肢誘導(aVR、aVL、aVF、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)にノイズが混入している場合は、これが考えられます。

患者さんが動いていないか、またはかすかに震えていないかを確認しましょう。毛布の準備も欠かさずに。

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※胸部誘導はキレイだが、肢誘導にノイズが混入している。
 
 

原因③ 発汗

逆に患者さんが暑がりで発汗していると、電極との間にできた汗が抵抗成分となり、きれいな心電図がとれなくなります。

この場合は患者さんの体をよく拭いて電極を装着し直せばOKです。

拭く時はアルコール綿などで拭いてあげると、患者さんの皮膚上にある「皮脂」も一緒に取り除く事が出来るので、よりキレイな心電図が記録できると思います。
 
 

原因④ ゲルが乾いている

ジェルが乾いている、または不足している場合も心電図はうまくとれない場合があります。

心電図用ゲルには皮膚との抵抗を軽減する効力があるのでしっかりつけましょう。

最近の心電図電極は初めから乾きにくいゲルが貼付されているのでそのまま使えますが、古くて使用期限が切れていたり、不良品も無いとは言い切れないので、「何かおかしい」と思ったら電極を変えてみるのも1つ手です。
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※電極を何度も貼り直しても徐々にゲルが剥がれてきて、ノイズが混入しやすくなります。
 

原因⑤ 周りの機器の電磁波の混入

意外と盲点ですが、心電図をとる時、心電計以外の機器にも注意が必要です。
 
 
例えば心電図をとっている患者さんのすぐ側に、電源の入ったエコーの装置があったとします。

エコー装置がアースされていなかった場合、エコー装置に混入した「ハム」が心電計に電磁的な影響を及ぼす可能性があります。

不必要な機器は電源を切るか、患者さんの近くに置かない、アースの確認をする、といった対策が必要です。

さらに他の機器の電源コードが幾つも絡んでいるとお互いが干渉し、電磁波の影響を及ぼすことが知られています。

電源コードはきれいにしておくことを推奨します。
(つまずき事故の対策にもなりますしね!)
 
 

原因⑥ 心電計のフィルター設定がOFFになっている

フィルターとは心電図を記録する際、余計な電位をあえて見えなくし、きれいに見せるための設定です。フィルター設定がOFFになっていないか確認しましょう。

フィルターの設定がどこにあるかわからない場合は院内のMEさんに来てもらったり、電話で聞いてみてください。
 
 

原因⑦ 心電計のケーブルがおかしい

 
上記の確認をしてもまだノイズが混入している場合は、機械の故障やケーブル類の断線などが考えられます。

まずはケーブルを交換してみて、それでもだめなら装置本体を変えてみましょう。
 
 
この他にも呼吸性変動によるもの、稀ですがアースが逆に商用交流を拾ってしまっている場合などノイズの原因となるものは数多くあります。

患者さんと周りの環境をよく観察し対策を行うことで、よりきれいで正確な心電図を記録する事ができます。
 
 
 
心電図が綺麗に記録できるようになったら、今度は自分自身が心電図を読める様になってみて下さい。

心電図を解析するのは循環器医師の仕事と決めつける必要はありません。

心電図を読む能力は、医療スタッフ全員が持っておくべき能力です。


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