【透析】4つの抗凝固薬の特徴と使い方

【透析】4つの抗凝固薬の特徴と使い方

血液は異物に触れると凝固する性質があります。血液浄化や人工心肺など血液が異物と接触することを前提とする治療では、抗凝固療法が必須となります。現在、抗凝固療法として認可されている薬剤はヘパリン、低分子ヘパリン、ナファモスタットメシル酸塩、アルガトロバンがありますが、それぞれの特徴と使い方を解説します。


 

ヘパリン

半減期:約1時間
 
分子量:1万〜2万
 
凝固作用:
凝固因子の10aと2a(トロンビン)の両方と結合し、AT3(アンチトロンビン3)を活性化することで抗凝固作用を発揮する。
 
使い方:
半減期が1時間と短いため、透析開始時にヘパリン1000単位程度をワンショットしACTを延長させ、その効果を維持する為に600〜1000単位持続投与する。
 
注意点:
・AT3欠乏症の患者に対しては作用が不十分である。
・ヘパリンは陰性荷電のため、陽性荷電膜や陰イオン交換樹脂に吸着されてしまう。
・脂肪分解作用による脂質代謝異常で、不整脈や高脂血症を招く恐れがある。
・骨脱灰作用により、骨粗鬆症や腎性骨栄養症を招く恐れがある。
・血小板活性化作用
・ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:Heparin Induced Thrombocytopenia)
 
 

低分子ヘパリン

半減期:約2〜3時間
 
分子量:4000〜8000
 
凝固作用:
AT3を介するも2a(トロンビン)に対する作用はほとんど無く、10aに対して強い阻害効果を発揮する。
 
使い方:
凝固時間の延長は2a作用に、凝血抑止は10a作用に依存するため、低分子ヘパリンは抗凝固作用を強く保ちつつ、凝固時間の延長は軽度に抑える事ができる。その為軽度の出血傾向のある患者にも使用可能であり、ヘパリンの注意点である全ての項目が、ヘパリンに比較し安全である。また半減期が長いので、場合によっては1000単位程度のワンショットのみで持続投与は不要となることがある。
 
注意点:
長時間の治療では投与量のACTによるモニタリングが用意でない。(ソノクロットという測定装置ではモニタリング可能)
 
 

ナファモスタットメシル酸塩

半減期:約8分
 
分子量:500
 
凝固作用:
ナファモスタットメシル酸塩は蛋白分解酵素阻害薬であり、血液凝固が一連の酵素反応であることから、凝固系各酵素の作用を抑制し、結果的に凝固の進行を抑制する。さらにその効果は凝固系だけでなく、キニン・カリクレイン系、プラスミンの線溶系など体外循環時に活性化される多くの酵素系にも及ぶ。
 
使い方:
半減期が約8分と非常に短いため、その抗凝固効果が血液浄化での回路内にほぼ限局される。その為手術後や出血性病変のある患者にとって安全に使用できる。治療開始と同時に20〜40mgを持続投与し、ACT、セライト法で効果判定を行う。
 
注意点:
・ヘパリンでは活性化してしまう血小板も抑制してしまう。
・稀にアレルギー反応がある。
・ナファモスタットメシル酸塩は陽性荷電のため、PANなどの強い陰性荷電膜では吸着され、効果が弱まる。
・分子量が小さいため透析性がある
 
 

アルガトロバン

半減期:約30〜40分
 
分子量:500
 
凝固作用:
選択的にトロンビンと結合する事により、抗トロンビン作用を発揮する。
 
使い方:
アルガトロバンの最大の特徴はヘパリンや低分子ヘパリンの様にAT3を介さずとも抗凝固作用を発現する点である。その為AT3欠乏症の患者への使用や、HIT症例にも保険適応があり、血液透析時の回路内の残血・凝固、HITには効果がある。
 
注意点:半減期が30〜40分と長いため出血性病変をもつ患者に対しては不向き
 
 


Add a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です