【まとめ】小分子量物質,中分子量物質 etc. 透析で除去したい物質と方法

小分子量物質,中分子量物質,透析

 
血液透析(HD:Hemo Dialysis)や血液透析ろ過( HDF:Hemo Diafiltration)をはじめ、血液浄化の方法には様々な種類があります。

透析室や集中治療室においてどの方法を選択するかは、主に除去したい物質によって決定されます。

ここで言う除去したい物質とは、小分子量物質や中分子量物質などのことです。

では、具体的に小分子量物質とは一体何なんでしょう?

いくつまでの大きさのものが分子量小さいの物質なんでしょう?

また、集中治療室で試行される事の多い血漿交換(PE:Plasma Exchange)は大分子量物質やタンパクまでも除去できるとされていますがこれらとの違いは何なのでしょう?

この記事では血液浄化療法において除去したい具体的な物質と方法についてまとめています。

除去物質と血液浄化療法

透析で除去される小分子量物質

まず血液浄化によって除去される各物質の種類と、除去可能な血液浄化の方法を表にまとめてみました。

事項からの文ではこの表を元に解説を行っています。

※大きさのイメージがしやすい様に白血球や赤血球などの血球成分も記載していますが、実際には単位が異なるため正確に大きさの比較することは出来ません。

小分子量物質〜タンパクは血漿成分に含まれ、単位はDa(ダルトンと読みます)で示されます。
 
 

小分子量物質(500Da未満)

透析で除去したい小分子量物質

小分子量物質とは、分子量が500Da未満のものと分類されています。

具体的には小さい順に、
・アンモニア :17
・水分    :18
・電解質   :10〜数十
・乳酸    :90
・尿毒症物質 :数十〜数百
・クレアチニン:113
・糖分    :数百〜

などがあります。

大きさとしては一番小さな分類になりますので、血液透析(HD)、血液ろ過(HF)、血漿交換(PE)、交換輸血、どの方法をとっても除去可能です。

しかしこれらの小分子量物質を除去するという目的で、特別な理由がなければ通常血液透析(HD)を施行する場合がほとんどです。

この他にも限外濾過(ECUM)と呼ばれる、水分の除去を目的とした特別な方法もあります。
 
 

中分子量物質(500〜5000Da)

透析で除去したい中分子量物質

中分子量物質とは、分子量が500〜5000Daのものと分類されています。
具体的には、
・ビリルビン:584
・ビタミン :数千〜

などがあります。

ビタミンに関してはご存知の通り、さらにいくつもの種類がありますので数千Daという括りでまとめています。

血液透析(HD)は基本的に分子量の小さな小分子量物質の除去に優れています。

中分子量の物質はHDでは全く除去できないという訳ではありませんが、効率を求めるのなら決して良いとは言えません。

中分子量物質の除去を目的に血液浄化を行う場合は、これらの効率が優れる血液ろ過(HF)血液透析ろ過(DHF)が選択されます。

※実際にはダイアライザーの種類や血液浄化における流量の設定などでも除去効率は大きく変わります。
 
 

大分子量物質(5000〜50000Da)

透析で除去したい大分子量物質

大分子量物質は低分子タンパクとも言います。

分子量5000〜50000Daのものと分類されています。

具体的には、
・β2ミクログロブリン :11800
・エンドトキシン   :1万〜2万
・炎症性サイトカイン :2万〜3万
・α1ミクログロブリン :33000
・肝性昏睡物質    :500〜5万

などがあります。

これらに関しても先程と同様、システムとしては血液ろ過(HF)血液透析ろ過(DHF)にて除去効率が優れています。
 
 

タンパク質(50000Da以上)

 
血液浄化で除去したいタンパク質

50000Da以上の分子量を持つ物質は、タンパク質に分類されます。

血漿成分としてのタンパク質で分かりやすいものにアルブミンがありますね。

この他にコレステロールなども含まれ、まとめると、
・アルブミン  :66000
・IgG     :16万
・IgD     :18万
・IgE     :20万
・IgA     :32万
・コレステロール:51万
・IgM     :90万

などがこれに当てはまります。

これらの物質は通常血液透析(HD)で除去される小分子量物質に比べ非常に大きなものとなります。

なのでこれらの物質を選択的に除去したい場合は、血漿吸着(PA)二重膜濾過血漿交換(DFPP)などの方法を選択します。

小分子量物質、中分子量物質、大分子量物質(低分子タンパク)、タンパク質、の全てをまとめて除去したい場合は血漿交換(PE)にて可能です。
 
 
ちなみに交換輸血においても除去可能です。

交換輸血とは輸血と瀉血(しゃけつ)を同時に行うことで血漿成分を含む患者体内の血液を丸ごと交換するダイナミックな方法なので、血球成分も交換除去されます。ただし血漿成分のみの選択的除去は出来ません。

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1 個のコメント

  • […] 小〜大分子量物質まで幅広く浄化し、かつ除水も行いたいのであればCHDFを選択し、例えば、透析液流量500mL/hr、濾過流量900mL/hr、補液流量300mL/hr の設定にします。この設定であれば100ml/hr […]

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