ICUにおける早期リハビリテーションと人工呼吸管理

ICUにおける早期リハビリテーションと人工呼吸管理

PICS(Post Intensive Care Syndrome)という言葉に聞き馴染みはあるでしょうか?ICUで長期間・深鎮静の人工呼吸管理を行っていると筋力低下や認知障害を招きやすく予後不良となる傾向にあります。PICSを防ぐために重要となるリハビリテーションについて方法と注意点をまとめました。 
 


 
 

鎮静よりも鎮痛

人工呼吸管理中は不穏や自己抜管の危険があるため鎮静を行います。Deep Sedationの状態にすれば患者さんは静かになり、スタッフとしては管理がし易いかもしれません。しかし余分に深い鎮静は、せん妄・認知障害・筋力低下などを招き、結果として、ICU期間の延長、退院後の障害、社会復帰の遅れに繋がります。疼痛・興奮・せん妄対策ガイドライン2012では、鎮静よりも鎮痛を優先し鎮静深度を浅く維持することは、重症患者の予後を改善するとされています。
 
 

人工呼吸管理中のリハビリテーション

コントロールされた鎮痛と浅い鎮静管理を行うことで、人工呼吸管理中においてもリハビリテーションが可能となります。具体的には受動座位、端座位、立位、可能であれば歩行器を用いた歩行訓練などを行います。早期のリハビリテーションは有用であるが、危険も伴います。医師・看護師・理学療法士・臨床工学技士でカンファレンスを行い、安全を確保した上で慎重に行います。
 
 

早期リハビリテーションの開始基準

・意識
 -2≦RASS≦1(30分以内に不穏状態がない)

・疼痛
 NRS≦3

・呼吸
 呼吸回数<35回/minが一定時間継続している
 SpO2≧90%
 FiO2<0.6

・人工呼吸器
 PEEP<10cmH2O

・循環
 HR≧50もしくはHR≦120が一定時間継続している
 平均血圧≧65mmHg

・循環作動薬
 24時間以内にドパミンやノルアドレナリンの増量がない

・その他
 出血傾向がない
 興奮状態でない
 動く時に障害となるラインがない
 など
 
 

早期リハビリテーション実施中の中止基準

・意識自覚症状
 鎮静レベルがRASS≦-3
 鎮静薬の増量または新規投与でRASS>2
 労作時の呼吸困難感
 患者の拒否

・呼吸状態 
 呼吸回数<5回/minまたは>40回/min
 SpO2<88〜90%または4%の低下

・人工呼吸器
 人工換気の不同調
 気道管理が不十分

・循環 
 HR>予測最大HRの70%
 HR<40もしくは>130
 安定時の心拍数の20%低下
 新しい不整脈の出現
 抗不整脈薬の新規投与
 高度の心筋虚血
 収縮期血圧>180mmHg
 起立性低血圧
 平均血圧<65mmHgまたは>110mmHg
 
 

最後に

早期リハビリテーション介入はすべてのICU患者(特に人工呼吸管理の長期化が予想される患者)に適応があり、全身状態の安定が得られたら速やかに早期離床および運動療法を開始することが推奨されています。
 
 


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