【IABP管理】看護のポイントと気をつけること6選

IABP,看護

 
IABPは下行大動脈にバルーンを留置し、収縮と拡張を繰り返すことで心臓の負担を減らす強力な補助循環装置です。

カテ室で無事IABPが導入され循環補助が確立されてからも、ICUで注意することはたくさんあります。

ここでは集中治療室でのIABP管理について、看護のポイントを6つ抜粋して紹介していきます。

IABPとは

IABPとはIntra Aortic Balloon Pumpingの頭文字を繋げた言葉で、日本語では大動脈内バルーンパンピングと言います。
※パンピングとは、膨らんだりしぼんだりを繰り返すと言う意味です。

IABPは言葉どおり、(下行)大動脈の中で細長い風船をパンピングさせる事で心臓の機能のサポートを行います。

なぜこの動作で心臓をサポート出来るのかは、コチラの記事に詳しく書きました。
 
 

IABP看護のポイント

トリガーを確認する

IABPは効果的な補助を行う為に、心臓が収縮する時にバルーンをしぼませ、心臓が拡張する時にバルーンを膨らませます。

機械がこの動作を行うためには、どうにかして心臓の収縮・拡張の情報をキャッチしなければなりません。

この為に設定するのがトリガーという設定項目です。

IABPには心電図ケーブルが付属しています。

患者さんに貼った心電図をIABP本体の機械に接続することで、心電図情報から患者さんの心臓の収縮拡張の情報をキャッチします。

これが心電図(ECG)トリガーという設定になります。
 
 
またIABPのバルーンは大動脈内に留置されるので、動脈圧が把握出来る仕様になっています。

この動脈圧で心臓の収縮拡張の情報をキャッチする設定を動脈圧トリガーと言います。
 
 
集中治療室で診ている時はどちらの設定でも構いませんが、基本的には心電図トリガーとしている施設が多いと思います。

理由は心電図の方が情報を素早くキャッチでき、不整脈が発生した場合もバルーンの応答性が良い為です。

電気メスを使う時や、体位変換などで心電図にノイズが混入してしまう場合に一時的に動脈圧トリガーを選択する場合があります。

IABP管理をしている際はトリガーの設定を確認し、正しく応答しているか確認しましょう。
 
 

心機能を評価する

IABPはあくまで循環の補助装置なので、これ自体が患者さんの心機能を回復させるものではありません。

しかしIABPを導入することで心筋への酸素供給量は増加し、また心筋の酸素消費量は減少します。

この間に心不全となった原因を取り除き、心臓を休ませておく事ができれば患者さんの心機能は自身の治癒能力で回復してきます。

「待つ事」が大切なのです。

毎日エコーなどで心機能の評価をしましょう。

エコーの評価が分からない場合は、医師に訪ねて診ましょう。
 
 

ACTと出血量の確認

IABPの大動脈内に留置されるバルーンは人工物です。

血管内に人工物が留置されると血栓が形成されてきます。

ましてやIABPは頭部や腹部の主要血管に近い部分に留置されるので、こんな所に血栓が出来てしまい末梢へ流れていってしまうと大変です。

ヘパリンによりACT(活性化凝固時間)を延長しましょう。

具体的には160〜200秒程度で管理されている施設が多いと思います。

副作用として出血傾向が助長される場合があります。

バルーン刺入部やその他の部位からの出血が強い場合には注意が必要です。

また出血量を正確に把握しておくことが大切です。
 
 

バルーン位置を確認する

IABPは前提として心不全の患者さんに導入されます。

心不全の患者さんの身体的特徴として全身浮腫の傾向にあります。

IABPが導入された後はカテの固定をしっかり行い、刺入部からの距離を計測し抜けやズレがないように管理しますが、IABPにより心不全が改善し浮腫も改善されてくると、しぼんだ皮膚に引っ張られIABPのバルーン先端位置が変化する事があります。
 
 
また、体位変換時にやレントゲン撮影時にもバルーン先端位置が変化しやすいです。

カテ刺入部からの距離だけでなく、レントゲンを撮ったあとの確認を欠かさず行いましょう。

IABPバルーンの適切な位置は、カテ先端が左鎖骨下動脈の2〜3cm下に位置するところです。

またレントゲンでは体内でのカテの屈曲の有無なども確認することが出来ます。
 
 

末梢血流を確認する

IABPはほとんどの場合、大腿動脈から下行大動脈にかけて挿入されます。

大腿動脈の血管が細い患者さんでは、それだけで挿入部よりも末梢の血流が悪くなってしまう事があります。

IABPを管理している間は足の色調・温度・爪を触診し、足背動脈の血流・拍動を確認しましょう。

血流の確認はドップラー血流計があれば便利ですよ。
 
 

離脱時の注意点

心機能が回復してきたらIABPの離脱を検討します。

まずはIABPの間隔を1:2や1:3にし、サポート率を下げます。

その状態のまま2〜3時間様子を見て、血行動態に変化がなければカテコラミンサポート下にIABPを停止させ離脱します。

IABPの間隔を下げている間は、バルーンは収縮したまま止まっている時間が長くなります。

血管内で静止した状態が長くなると、それだけ血栓が形成されやすくなっているので注意して下さい。
 

 
 
 


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