【危険】SpO2の正常値100%はホントに安心? PaO2との関係について

spo2,正常値

 
SpO2は便利かつ非侵襲的なモニターで皆さん使用の経験があると思います。

SpO2はパルスオキシメーターで測定できる動脈血酸素飽和度のことですが、感覚的にSpO2が100%なら安心、95%なら黄信号、90%を切ってくると危険信号といった認識はありませんか?

でもこの認識、実は危ないんです。

なぜSpO2 100%なら安心という考えが危険なのか説明します。

 
 

SpO2の正常値

SpO2は、Saturation(飽和度) Pulse(脈拍) Oxygen(酸素)の略で、日本語で正しく言うと経皮的動脈血酸素飽和度と言います。

よく病棟やICUでは「サチュレーション」、「サーチ」などと呼ばれています。

その正常値は年齢によって多少ズレはありますが、95%〜100%です。

パルスオキシメーターという小型の機械を患者さんの指に挟むだけで簡単に測定でき、かつ酸素と言う重要な項目を持続的に観察出来ることから、日本のみならず海外でも当たり前の様に使用されています。
 
 
ちなみに余談ですが、パルスオキシメーターを世界に先駆けて開発したのは、我らが日本人、青柳卓雄さんです。

パルスオキシメーターの開発は日本が世界に誇れる技術のひとつなので、3学会合同呼吸療法認定士の試験問題にも度々出題されます。

SpO2とPaO2の関係

 
SpO2,正常値
SpO2とPaO2の関係はグラフに示すとおりです。
(※SO2とは、ここではSpO2のことと考えてOKです。)
 
 
SpO2が100%の時、PaO2も100mmHg(以上)です。

SpO2が低下すればPaO2も低下します。

あまり臨床で見かけることはありませんが、仮にパルスオキシメーターの値が75%と表示されている患者さんの動脈血をAラインから採血し、血ガス測定を行ったなら、PaO2は40mmHgとの結果が出るはずです。

SpO2 100%の危険

 
ここで問題なのは「SpO2は、100%以上にはならない」ということです。

どいうい事かと言うと、PaO2が100mmHgの時はSpO2も100%ですが、PaO2が200mmHgの時でもSpO2は100%を示すんです。
 
 
例えば「酸素マスク4LでSpO2 100%、血液ガスデータではPaO2 200mmHg」の人が、数時間後にPaO2 100mmHgになったとします。

PaO2が数時間で半分の値まで下がったということは、明らかに状態は悪化しています。

しかしPaO2 100mmHgでもSpO2では100%を示しているので、SpO2だけを見ていては状態の変化に気づきにくいのです。

これがSpO2 100%の落とし穴です。
 

SpO2は98%の正常値で管理する

 
先程のは仮の事例ですが、実際に起こり得る事象です。

そこで酸素マスクなどで酸素療法をする場合はSpO2 98%の値が出る設定を推奨します。
 
なぜ98%かと言うと、SpO2 98%は、PaO2でいうと90〜100mmHgだからです。

SpO2の正常値は95%〜100%なので、98%でも立派に正常範囲内の管理です。

これならば仮に状態が悪化してPaO2が下がってきてしまってもSpO2も低下するので、いちいち血ガスを測らなくても状態の変化に気づくことができます。

PaO2とSpO2の関係は酸素解離曲線に記されているので、チェックしてみましょう。

 
 
参考にした資料:
イラスト付きでわかりやすく、とても簡単な言葉を使って説明で説明してくれているので、すごくオススメです!
 
 
 
 


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